爆裂BOX

パペット・マスター3/ナチス大決闘の爆裂BOXのレビュー・感想・評価

3.8
戦時中ナチスは戦力として利用する為死体蘇生の研究に取り組んでいた。一方、トゥーロンは命を持つ人形を使いナチスをバカにする人形劇を上演していたが、劇の内容と奇跡の術がゲシュタポに知られ、妻エルザを殺された挙句捕らわれてしまう…というストーリー。
「パペット・マスター」の三作目でシリーズ最高傑作の呼び声高い作品です。監督はロジャー・コーマン門下生の一人であるデヴィッド・デコトーが手掛けています。
今回は1941年のベルリンを舞台にした前日譚的な内容になっており、ナチスをコケにする人形劇を開催していたトゥーロンが、人形に命を与える術を知られ、それを死体蘇生の研究に利用する為踏み込んできたゲシュタポに妻を殺され捕われるも人形達の活躍で逃げだし、復讐を開始するという内容になっています。一作目では1939年に自殺したはずのトゥーロンが1941年に活動してる矛盾が生まれてますが些細な事ですね。
前作ではゲスな悪役に成り下がってたトゥーロンですが、今作では人形達に優しく信念持った善の人で登場します。復讐始めてからはちょっと怖い所もあるけど。演者は一作目のウィリアム・ヒッキーから「ドールズ」のエキセントリックな老人演じたガイ・ロルフに代わり、彼の当たり役となりました。人形達可愛がったりする時の好好爺な表情と復讐決意した時の鬼のような表情の演じ分けが素晴らしいですね。
悪役のクラウス少佐を悪役俳優のリチャード・リンチが演じており、冷酷な雰囲気がハマってました。ブレイドの見た目のモデルとなる彼ですが、役名は一作目のシュモーラー監督が「ブレイドのモデルはクラウス・キンスキーだ」との発言から来てるみたいですね。
今回は新メンバーとして六本腕で拳銃操るガンマン人形「シックスシューター」が登場。腕吹っ飛ばされながらも正面から銃撃して敵を倒す姿は男らしい。またリーチウーマンとブレイドの誕生も描かれます。リーチウーマンの元が妻エルザですが、自分で復讐できるようにと言ってもヒル吐く人形にする感覚は分からん…相変わらずヒル吐くシーンは声と言いキモいです。でもこの誕生知ると尚更二作目でリーチウーマン死んだときの塩対応が違和感ありすぎ。一作目で魂吹き込まれたはずのジェスターが普通にいますが、可愛いので問題なし。ブレイドは最後の最後でようやく登場します。
今回は敵が悪役のフリー素材と化してる感があるナチスなので人形達を素直に応援できる物語になってますね。また、トゥー音の弟子になる少年ピーターとの交流や、ピーターを助けるために密告する父親、ナチスの元で死体蘇生の研究しながら、その研究に利用する為トゥーロンの秘薬研究するうち彼を科学者としてリスペクトするヘス博士と彼と接してお同じく科学者として敬意を表するトゥーロンとの場面等ドラマ部分も力入ってて役者陣の熱演も良いです。
死体蘇生実験で蘇生失敗した死体たちの暴れ方や動きなど「死霊のしたたり」を彷彿させる気持ち悪さ。
ラストのクラウス少佐を処刑する場面は悪役とはいえかなりサディスティックな物になっていて、これがホラーだと実感させてくれます。スカッともするけど。
シリーズ最高傑作の評価あるのも頷けるクオリティでしたね。最後に「パペット・マスター4」のタイトル出てましたけど、4作目と5作目のBD化の予定あるのかな?善と悪のパペット対決が繰り広げられる娯楽色高い内容だけにぜひとも実現してほしいですね。