爆裂BOX

ジェスターの爆裂BOXのレビュー・感想・評価

ジェスター(2023年製作の映画)
3.3
ゲオ先行レンタルでリリースされたハロウィンの夜に謎のジェスター(宮廷道化師)につけ狙われる姉妹の恐怖を描いたホラーです。YouTubeで3000万回再生された短編映画が元になっているようですね。
自殺した父ジョンの葬儀に参加したエマは、異母姉妹のジョスリンと出会いバーへ行くが、ギクシャクしたままエマはバーを飛び出し別れてしまう。その後、二人の前にはジェスターという道化師の格好をした謎の人物が現れ、恐ろしい目にあわされる事になる…というストーリーになっています。
ストーリーとしてはハロウィンの夜に謎の道化師に付き纏われて主人公のエマとジョスリンや友人達がからかわれながら恐ろしい目にあわされるという「テリファー」とそう変わらない展開見せます。
主役であるジェスターはオレンジのスーツにズボン、ネクタイに黒のシルクハットとステッキというオシャレな格好で、顔にはジャケットの様な怖いマスクつけてます。一言も喋らず、人をおちょくるようなパントマイムする所とかはアート・ザ・クラウンに通ずるものがありますね。意識はしてるでしょうね。凶器を使うアートと違って、ジェスターは超常的な力使って人を殺していきます。冒頭からエマに和解の電話かけるもすげなく断られたジョンを、ネクタイを締める仕草すると何時の間にか首に巻かれてたロープが閉まって、ネクタイ引っ張るとそのまま首つりにされたり、何時の間にか靴紐が繋がれてて転んで墓石に頭打ったり、口からリンゴ吐き出したり、自分の手にかけた手錠が何時の間にか警官達の手にかかってたり、紙コップマジックの中身が自分の歯や眼球になってて、何時の間にか身体からなくなってたりといったマジックを活かしたコミカルな感じの殺し方は中々面白かったですね。警官の頭にシルクハット被せたら頭が消えて、その状態でバタバタ手を動かして頭探す仕草してるのは面白かったですね。子供達をからかったりもします。ただ、ゴア描写がほぼないのは残念かな。ジェスターが瓶の破片で自分の喉切り裂く所くらいか。
ストーリーのメインになってるのは異母姉妹間と父親との確執などを描いた家族ドラマですが、そっちはちょっと微妙かな。和解するというか、妹を気にかける瞬間が唐突過ぎた印象。母親の声を使ってスマホ越しに主人公煽っていく所は面白かったけど。
結局ジェスターがどういう存在なのかは謎のままですね。主人公達の父親殺して主人公達に執着して命狙う理由も全然わからないし、「あなたは病よ」と言われて姿消すのもどういうことなのか。最後のエマの独白で父親と同じ病を自分も受け継いでそれと向き合って生きていくと言っていたことから家族の確執から生まれた心の闇の部分が具現化したものかと思ったけど、墓守や警官や雑貨店の店主、ジョスリンの友人達など第三者にも見えて殺してたしなぁ。ジョスリンの友人達いい子たち多かったのでひどい目にあわされたのは可哀想。
まあ、ラストは父親の事も許せて妹の事も受け入れてハッピーエンドという事かな。尻すぼみ感あるけど。
個人的には普通に見れましたし、暇潰しには充分なりましたが、「テリファー」と比べるとゴア度もインパクトも薄くて遠く及ばない作品ではありますね。比べなければ普通に見れるB級ホラーではないかと思います。
最後に作品登録ありがとうございます。