優しい紳士にご用心！

勝手にモクテズマ特集！！④
メキシコの「地獄」を暴くために取材にやって来たアメリカ人夫妻が、メキシコの「地獄」によって逆に地獄に突き落とされそうになる返り討ち系クライムサスペンス。地下牢→吸血鬼→修道院と恐怖を描き、ついにその対象がメキシコに！😂

メキシコ軍隊が都合悪い奴らを処して自殺と報道するというの地獄…。「被害者の死体より先に殺人犯が見つかった」というパワーワード！！死体なくても殺人になるんだ…😅しかも見つかった犯人は何故か捕らえられた後に自殺…本当に殺人はあったの？本当に犯人なの？って疑うレベル🤣

モクテズマの父親三部作（勝手に命名…笑）を経て、モクテズマ作品に通底するもうひとつの主題であったメキシコの独裁に対する悲鳴をここに来て真正面から叩きつけた作品。過去作では婉曲的に描いてきた（父親・父性、強権的な支配・被支配構造に象徴させてきた）ものだけれど、70年代と80年代で表現への規制的なものが緩まったのか何なのか、ドスレートにぶちかまして来て笑った🤣

メキシコで合流する予定の主人公夫妻。奥様が夫のところに車で向かっている最中に泥濘みにハマり動けなくなってしまう。通りがかりの心優しい紳士に「ウチに来ない？妻も喜ぶよ」と言われ、ノコノコついていったら案の定変態紳士（独身）だった！😱ついウッカリ処してしまう奥様だったけど、変態紳士は英雄と謳われる超大物と判明…。全力で犯人を捜査（という名の粛清）するメキシコ軍人たちをかいくぐり出国することができるのか？っていうお話。

前半はガチガチなホラー、後半はクライムサスペンス。奥様が夫の元へと向かう道中、少しずつ暗くそして雷鳴が聞こえ始め、細かなカットを繋ぎ合わせることで「何か起こるぞ」っていう嫌な空気感を充満させていく。盛り盛りな曲をそこに合わせるのがモクテズマにしては意外な気がしたけれど、変態紳士の家についてからは自然音を信頼した演出、回り込むカメラ、斜角や鏡等、らしさが増していき、じっくりと非常に純度の高いホラーへと仕立て上げるのが流石のモクテズマ！

そこからは夫と協力しての国外逃亡を企てるスリリングな展開。夫の前任だった記者は軍隊に処され、奥様の犯行の目撃者は「自殺した」と新聞に載り、不穏さが異常なほど高まっていく。しかも軍隊だけではなくメキシコ警察まで動き出す。ポー『黒猫』、『早すぎた埋葬』を一瞬連想させるような展開、手堅いサスペンス演出。

昨日『ブラッディマリー』が一番見やすいと書いたけれど、本作がモクテズマの中で最もエンタメ性が高くて見やすいと思う。初期2作は完全にアートフィルムなので、本作か『ブラッディマリー』からが一番入りやすいような気がする。モクテズマ監督作はあと2作あるのですが、ひとつはIMDbですら誰も見ておらず、もう一本も17人しか見ていないので恐らく日本で見るのはほぼ無理な気がする…😓なのでとりあえずコレでモクテズマ特集終了です！見る方法見つかったらまた再スタートするかもですが笑

• #ホラー映画と怖い映画
• #こんなのあるよ！だってVHSだもん☆