もこもも

学校IIのもこもものレビュー・感想・評価

学校II(1996年製作の映画)
3.9
高等養護学校の卒業式が迫ってきたある日、生徒の高志と祐矢が買い物に出たまま帰ってきていないを知りって捜索する車の中で、竜先生はこれまでの3年間をふと思い返す...

山田洋次監督の学校シリーズ2作目
前作の『学校』とテーマや構成は同じやけど舞台や主人公が変わった姉妹編的な作品になっている
障害者についてだけじゃなくて、
社会の厳しさ、偏見や差別、
大人の成長も描かれていて、
とってもあったかかったし、
素敵なこと、大切なことが詰まってた
山田洋次の作品はメッセージ性が凄い

「与えるとか教えるじゃないんだよ
 子供たちから学んだことを返してやる
 そういうことなんだよ、俺たちの仕事は」

主役の担任の竜先生
副担任で新人の小林先生
学校一番の問題児の佑矢
心を閉ざして話さなかった高志

この作品は生徒だけじゃなくて、
親も、先生もみんながお互いから学び合って
成長していく姿が描かれていたのが素晴らしい
いつまでも人は学ぶべきことがあるよね

魚釣った時の高志の表情、いい笑顔やったなぁ
高志が怒ってあの佑矢が大人しく従う
あぁ理屈じゃないねんなぁって
直感的に兄のように感じたんやろなぁ
その時の先生たちの顔を微笑ましかった
そこからの高志の成長も胸がほっこりした

『風になりたい』を車の中でみんなで演奏して
みんなで歌うシーンが大好き
ビールのシーンもくすっと笑える
人生で一回くらい気球に乗ってみたいなぁ
再開のシーンは本当に幸せで胸がいっぱいになった

高志役の吉岡秀隆さん
佑矢役の神戸浩さん
この2人の演技力がとにかく凄くて、
その素晴らしさに胸を打たれた
先生たちの成長もいいよね
若い頃の浜崎あゆみと小藪にびっくり

自分も知的、身体障害者と関わる機会があったからその大変さとやりがいは先生と比べたら少しやけど理解できて、佑矢にブチギレる先生の気持ちもよく分かった
どこに向けたらいいか分からないモヤモヤとかなんで分かってくれへんねんっていう悲しみ
ただ竜先生が言ったようにこっちが興奮したら駄目で人の心を読み取るのは容易なことではないけど、抑え方ひとつでも相手を思いやらないといけない
だからこそ相手と分かりあったとき、
笑い合えるようになった時に、
大きなやりがいと幸せを感じれる

卒業式のお話と合唱も大きな感動を抱いた
特に「もっとここにいろよ」の言葉が...
小林先生の話も愛に溢れてたね
子供から大切なことを学んだ竜先生が
元奥さんに宛てた手紙もとっても素敵

「突然奇妙なことを言うようだけど、
 僕たちは娘に
 多くのことを期待してはいけないと思う

 僕たちだけではない
 おばあちゃんや学校の教師が
 あの子に独りよがりな期待を抱くことが
 本人にとってどんなに大きな負担であるかを
 思ってやるべきだ
 僕たちが出来ることは
 あの子に寄り添ってやること
 そして健康と自分を愛する心を
 与えてやることだと思う
 どうか、あの子に過大な期待をかけて
 苦しめないでほしい
 あの子にどんな花が咲き、
 どんな実がなるのかを知っているのは
 親や教師ではなく、本人なんだから」
もこもも

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