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アリゾナ・ドリームのERIのレビュー・感想・評価

アリゾナ・ドリーム(1992年製作の映画)
3.0
すんごい不思議な映画です。エミール・クリストリッツァ監督作品。
テーマは夢なんやけど、「アメリカンドリーム」が崩壊したことを独特な雰囲気で面白おかしく描かれてる。一応ジャンル分けはコメディに入れてるけど、もちろんアメリカンコメディとかを想像するとギャフンてなります。コメディていうよりは喜劇て感じ。アメリカンジョークなんかよりもっと芸術的でシュールな映画。ブラックコメディです。

この映画の何がいいかってギャロとジョニーの2ショットにすんごいときめいてしまいました。ギャロはファンじゃない人も楽しめると思う!ちょっとうざいキャラやけどなんだかいつになくキレイやの。短髪でひげなし。ジョニーは最初汚らしい感じやねんけど、車のセールスマンする時は蝶ネクタイやったり。最後花嫁の帽子だってかぶっちゃいます。「かっこいい」て世の女性たちがきゃあきゃあ言うてしまうのも仕方ないよなぁていうぐらいしみじみと男前やなぁて思ってしまう。役柄はもちろん2枚目なんかじゃないねんけど、2人の女性に挟まれて一応モテ役。そんなジョニー以上にいい味出してるのがポール役のギャロ。出てくる登場人物みんな変わってるけど。

ギャロ扮するポールは、すんごい調子良くて、アクセルは魚の管理する仕事が大好きで満足してるのに、無理矢理自分のカーセールスのパートナーにしたくてアリゾナまで連れてきてしまいます。そんな自分勝手な人だけど、なんだか憎めない。スターになりたくて、映画の台詞全覚えやったりするん。しかも目の付け所がマニアック。ずっと一人でぶつぶつ言うてます。

カメになりたい女(グレース)。魚になりたい男(アクセル)。鳥になりたい女(エレイン)。スターになりたい男(ポール)。基本的にはこの4人の一風変わった夢のお話。色んな形で壊れていくの。悲しい結末を迎えてしまったり。それぞれの気持ちが絡まっていてぶつかったり愛し合ったり地味に激しいです。それがイギーポップのなんとも言えない調度良い温度のメロディでいい感じ。

好き・嫌いは分かれると思います。私も、ジョニーデップが出てなかったら見てなかったやろうなぁ、そんな映画です。
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