ある殺人事件の容疑者の弁護のために訪れたモナコで、辣腕弁護士の男性が地元でお天気キャスターをしているピチピチギャル（死語！）に誘惑されてその気になっていく姿とその顛末を描いた、アンヌ・フォンテーヌ監督のドラマ映画。『ボヴァリー夫人とパン屋』のアンヌ・フォンテーヌ監督とファブリス・ルキーニの初タッグとなる作品。

冒頭での、ファブリス・ルキーニ演じる弁護士とロシュディ・ゼム演じるボディガードのやり取りを見ていると静かなコメディのように見えるが、お天気キャスターの女性が登場してからは雰囲気が違ってくる。でも、それ以降の展開はかなり微妙な感じ。能天気なコメディでもないし、恋愛ものでもないし、サスペンスっぽくもサスペンスとまで言えないし、法廷シーンは出てくるが法廷ものでもないし、男どうしの友情ものというほどの結びつきにもみえない。すでに弁護士として自分のステイタスが確立している生真面目っぽい中年男性が若くてセクシーな女性に惑わされるというプロットはあるのだが、脚本がグダグダ。例えば、弁護士の男性も生真面目にみえて、知り合ったばかりの女性を誘っている冒頭のシーンや昔の恋人が訪ねてくるシーンなど、実は女性にだらしないという感じも暗示していて、どこか一貫性がない。最後の展開にはちょっとびっくりするが、結局、何を見せられたのかよくわからないままに終わってしまった。

それよりも、セクシーな魅力を発散させているルイーズ・ブルゴワンのファム・ファタールぶりを楽しむのが、正しい観賞の仕方と言えるかもしれない。そういう意味では、彼女の魅力を前面に押し出した邦題（原題は「モナコの娘」）やジャケ写は理にかなった選択と言える。本作が映画デビュー作となるルイーズ・ブルゴワンは実際にCanal+で天気予報のキャスターをしていて、それを観たファブリス・ルキーニが監督に本作での起用を勧めたとのこと。また、アンヌ・フォンテーヌ監督からは演技の際にブリジッド・バルドーを参考にしたらというアドバイスを受けている。そんな彼女の魅力は十分に発揮できている。

有能な弁護士のオジサンが、奔放なお天気キャスターにのめり込んでゆくお話。監督はアンヌ・フォンテーヌ。

ちょっぴりお色気なアホ映画と思いきや、軽いと思わせて重さもある。恋した女が簡単に他の男と寝てるのを知った時の悲しみ。リアルです。

エンディングも含めて中々味のある素敵な映画でした。お天気キャスター役のルイーズ・ブルゴワンの可愛らしさもすごい。

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