熊太郎

コックファイターの熊太郎のレビュー・感想・評価

コックファイター(1974年製作の映画)
4.2
アメリカ南部。土まみれのフロントガラス。
ショットガンハウス、湖畔の逢引。

音楽マイケル・フランクス。
撮影ネストール・アルメンドロス。


闘鶏という競技のカラクリの非情さ残酷さもさることながら、出てくる闘鶏師たちが、賭け金以上のなにかを闘鶏に見いだしているのが奇妙にスリリングだった。
それでいてロマンでは食えぬとばかりに無用の鶏はバサバサ殺す。擬人化のない世界。
シャワールームで山積みにされた死骸の薄暗さも良かった。画にいちいち不穏の色気。


ウォーレン・オーツ、町でいちばんの美女をモノにしそうな男。オンナは男に巣食うなにかを察知しつつ、自らの領地に定着させる術をもたない。


もぎとった頸を贈る男、受けとる女。
愛の終わりは言葉の始まり。詩と訣別した散文というのは、このように、このようでなくては。


B級映画の気骨を見せてもらった。
熊太郎

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