かなりおもしろい。メリーさんの生き様が、というのはもちろんだけどメリーさんを語る人たちがおもしろい。
社会的な保障を受けられるよう尽力した人、会話をする中ではあったものの手を差し伸べられなかったことを後悔する人、多分彼女のことを嫌いだっただろうな、という口ぶりで思い出を語る人。
とりわけ、メリーさんを強烈に美化/エンタメ化して褒めたたえる人の、その爛々と目を輝かせて語る様から滲む人間の生々しい浅ましさが新鮮だった。
断罪しているわけではなくて、純粋にこの感情をストレートに伝えてくる作品ってすごいなと。人間ってこういう醜さあるけど芝居で表現は絶対にできないよな、ドキュメンタリーだな、という興奮があった。
遠巻きに見ながら、噂を聞きながら彼女を応援していたのだという意見に、じゃあそのうちのあと何人が彼女に手を差し伸べていたら、横浜に居を構えることができたんだろうと言いたくなる。感銘を受けるだけじゃ何も生まないので。
時代が時代というのはもちろんあるけど、現代でも全然あり得る話で、分断されている人たちをケアできる人間であらねばな、と多分永遠の宿題を出されたのだと思う。
あと晩年のメリーさんの横顔の造形がとんでもなく美しかった。
