このレビューはネタバレを含みます
このメリーさんてのはざっくり説明すると敗戦後、伊勢佐木町で滞在していた米軍将校専門の娼婦であったらしい。
見た目はモノスゴイインパクトである。
顔をオシロイで真っ白に塗りたくり
ひん曲がった体で白いフリフリのドレスを着、
日傘を杖がわりにしてもう片方の手には
おそらく自分の全てが詰まったカバンを持ってゆっくりゆっくり歩く。
メリーさんは町の有名人だった。
メリーさんが歩くとみんなが見る。
見る方も様々で、白い眼で見る人もいれば温かい眼差しを向ける人もいたみたい。
そんな視線も気にせずメリーさんはゆっくり歩く。
若い頃は並の兵隊は相手にせず、将校のみを客としてとっていたらしいからなかなかプライドの高い人だったようだ。
呼び名も時代によっていくつかあったみたいだけど忘れたから割愛します。
当時のコトを知る人達からはいろんなエピソードが語られている。
この映画自体すばらしいんだけど、そのなかでも俺が良い話だなと思ったのは
なぜ年老いてまでずっと立ち続けているのか?
っちゅー話になったとき。
事実かどうかは分からないが若い頃、客として来た将校と互いにスゴく愛し合っていたんだけど相手は本国に帰ることになった
必ず迎えに来るから。
そう言われたメリーさんはずっとそれを待っている。
マユツバものの話かもしれない。もしかしたらセックスがすげーしたいだけかもしれないし
生きるための金が必要なだけかもしれない。
相手はキレイに関係を精算するための逃げの手だったかもしれない。
けど、ここまでくると自分ははそのエピソードを信じてみたくなってしまいました。
本当であって欲しいなーと。
映画のなかでゲイのシャンソン歌手が出てくるんだけど、この人はずっとメリーさんのお世話をしてきた人とゆうか友達です。
95年にメリーさんは歳老いたこともあって伊勢佐木町から生まれ故郷に帰郷して老人ホームに入ります。
この人は老人ホームに歌を歌いに行きました。
フランク・シナトラのMy wayです。
歌詞は日本語に訳してあって、
それをメリーさんがゆっくりうなづきながら聞いている。
人には人それぞれの歴史があって
メリーさんの人生はあまりにも過酷で残酷なんだけど
極わずかな人達の存在が
この人の人生も最悪ではないなと思わせてる。
映画の最後にヨコハマでホームレスだったメリーさんは
歌手と手をつないで自分の部屋にゆっくりゆっくり歩いて帰って行く。