このレビューはネタバレを含みます
インターネットが今ほど普及していなかった頃、見ていた都市伝説のHPで知った、“白いメリーさん”の噂。
写真もなく活字だけで記されたその様子は、ゾッとするような不気味さがあると同時に、そのミステリアスさにすごく興味をそそられた。果たしてメリーさんという人は実在したのか?それとも単なる作り話に過ぎないの?
インターネットがすっかり普及した今、たいていのことは数秒でわかってしまうようになり、都市伝説というもののワクワク感も今ではすっかりと薄れてしまった。
2005年にこのような映画が上映されていたのを全く知らなかった私は、Netflixにメリーさんのまるでホラー映画さながらの不気味なアイコンが登場してこの映画の存在を知り、とうとう恐る恐る視聴ボタンを押した笑
あの不気味なアイコンのような怖さはなく、過去にメリーさんと関わった人々の証言により、メリーさんの謎を解き明かしてゆくという普通のドキュメンタリーだった。
本作で面白いのはメリーさんという横濱の象徴的な存在を追って行きながら、同時に戦後の横濱の歴史を追うドキュメンタリーとしても楽しめるところだ。当時の様々な人種が入り乱れた混沌とした様子や、加えて高度成長期の懐かしい賑わいなどが伝わってくる。
ラストにメリーさん本人が登場するのは賛否両論であったろうが、私はとても必要なシーンであったと思う。やはりこれを観る人のほとんどが、メリーさんというその謎多き存在に惹かれ、魅了されてその謎を解き明かしたくて観るのだから、やはり登場せずに終わってしまうのでは物足りない。監督からの観客へのサプライズプレゼントのように感じた。