シネマスカイウォーカー

デューン/スーパープレミアム[砂の惑星・特別篇]のシネマスカイウォーカーのレビュー・感想・評価

3.3
劇場公開版のレビューを参照ください。

劇場版見た時は「なんだこりゃ」だったけど長尺版だとストーリーが補完されだいぶわかりすくなった。
個人的にはこっちの方が好き。


【TV放送長尺版がオススメ!】

荒削りな劇場公開版よりもシーンが多く話を理解しやすい。

今作の映画としての出来にはガッカリしたけど内容的にはとても良かったと思う。特に長尺版を見た時には話の大筋がしっかり分かるためより楽しめた。スパイスや領家の説明は劇場公開版でもされるものの過去に何があったのかという説明は劇場公開版にはない。何故ロボットを使わないのかやベネ・ゲセリットの成り立ちなどは長尺版の方が丁寧に語られている。壮大なスケールと専門用語が多い作品ではただでさえ彼らの言動を理解するのが大変であるため、観客には十分に説明する描写が必要となる。残念なことに劇場公開版ではそれが上手に出来ていない。また時間を切り詰めるため真っ先にカットされるのは風景を映したシーンなどだが、劇場公開版ではそれを削り過ぎた結果どこで今何をしているのかさっぱり分からない。アトレイデス家のいるカラダンがどのような星なのか、彼らは今どこにいるのかがちょっとしたシーンを挟むことですぐに分かる。が、それをカットしてしまっているので結果どこで何をしているのか分からない。長尺版ではそこがしっかり描写されるため段違いにわかりやすく状況を理解しやすい。
さらにメカデザインなども洗練されていないため、今建物に入ったのか、宇宙船に入ったのかも分からないし飛んでいるものが宇宙船なのかそれ以外なのかも分からない。例えばアトレイデス家がアラキスに到着する場面、知らぬ間に宇宙船で移動して知らぬ間に上陸して基地内にいるため船内で起きてることなのかと思ってしまう。しかし長尺版ではしっかりと着陸しアトレイデス家がタラップから降りて階段を登りアラキスの基地内に入っていきシールドを張るところまでが描写され、ここでやっと「基地に入ったんだな」とわかる。他にもサンドワームを初めて見るシーンではしっかりと後ろに船らしき動きをするものが描写され乗り込むシーンもあってはじめて「偵察に行くんだな」ってことがわかる。どんな映画も丁寧に描写しろと言ってる訳ではない。スターウォーズなどは見て一発で宇宙船やロボット、基地内であることが分かる。これは洗練されたデザインが観客に説明なしで伝えることを可能にしている。しかし劇場公開版のデューンではデザインが最悪過ぎる上にスターウォーズのような語り方をしようとしている。結果観客は何が何だか分からなくなってしまう。操作盤とか通信装置とか円柱型の飛行物体とかもうチープ過ぎてガッカリだが、中でもサンドワームを初めて見るシーンで乗っていた乗り物なんてただの「四角い箱」でなんじゃこりゃって感じですよ(苦笑)

こんなにもクオリティの低さが目立つ作品だったが逆にクオリティがとても高いシーンもあった。特にハルコンネン家側の描写はチープさは無かった。まずハルコンネン男爵の顔のグロさ、あれはホントにゲテモノ感と悪者感が全開で人目見て敵だとわかる。ハルコンネン家の全体的に湿っぽい感じもキモさが増して良かった。パンイチのフェイドとかもなぜか分からないけど良かった。序盤に登場する水槽に入ったギルドのボスの鼻?と思しき穴の動きもリアルでキモい(褒め言葉)
極めつけはポールが予知夢的に見る胎児の描写である。あれどうやってるんだろ?ホンモノ?それくらいにリアルだった。
メカデザインは最悪だけど生き物デザインはずば抜けてる印象がある。


とここまでクオリティの話ばかりで内容に触れていないが、かなりの文字数を書いているので内容については今後書くであろうドゥニ・ヴィルヌーヴ監督によるリメイク作『DUEN 砂の惑星』(2021)のレビューで触れようと思う。

なお、自分は「劇場公開版→リメイク版→長尺版」の順で見ているため、同じストーリーを3回見ていることで長尺版がわかりやすいという評価になっているのかもしれない。

いずれにせよ「劇場公開版」は駆け足で雑さが目立つのでまだ見やすい「TV放送長尺版」をこれから見る人には強くオススメする。

追記:冒頭のナレーションのお姫様って本編にも皇帝の横に登場してたのね。あと知らぬ間に死んでたラッバーン?