柏エシディシ

デューン/スーパープレミアム[砂の惑星・特別篇]の柏エシディシのレビュー・感想・評価

2.0
巨費を投じた大失敗作と名高い(?)スペースオペラ。
今観れば、それでも何か新たな発見や面白みがあるんじゃないか?と思ったけれども、ウン、やっぱり酷い映画ですw
リンチ作品としても、SFエンターテイメントとしてもコレジャナイ感満点。

原作小説は未読ですが、膨大な設定や背景を映画の中で消化しきれてない様に感じます。
心情モノローグや説明的ダイアローグを多くして、なんとか観客を映画世界に誘い込もうとしてはいるのですが、映画のリズムとしてこの手法は最低と言っていいです。
ホドロフスキーが挫折し、リドリースコットが匙を投げたバケモノ。リンチの手にも余った模様。

リンチ自身、「エレファントマン」に続いて雇われ仕事的といいますか、「デューン」という題材の持つテーマやSF的醍醐味にさほど関心が無かったのではないでしょうか。
故にエピソードの取捨選択を放棄したスジをなぞるだけのストーリーテリングに結果なってしまった様に思えるのです。

それよりもハルコネン男爵のフリークス的佇まいをはじめとしたリンチ的美学を感じさせるディテールに拘っている節もあり。
これは、ジョンメリックの造形や20世紀初頭のイギリスを再現する事に執心し、世評とは裏腹に、作品テーマに向き合っている様に感じられない「エレファントマン」と作品の本質は符合する特徴に思えます。

その後リンチの分身となるカイル・マクラクランと邂逅し、2本のコレジャナイ映画を通して改めて自身の本当に撮りたい映画に臨み、傑作「ブルーベルベット」を手掛ける契機になったと思えば、本作も捨てたモンじゃないかもしれませんが。
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