津軽系こけし

ウルトラマンサーガの津軽系こけしのレビュー・感想・評価

ウルトラマンサーガ(2012年製作の映画)
4.0
ゼットゥウウン…ピロロロロロ


奴はゼットンの中でも最弱
およそ10年ぶりのウルトラマンシリーズ視聴、久しぶりの怪獣、ジオラマ撮影、懐かしい要素がてんこ盛りで、映画の内容とは逸脱して楽しめました。

私のウルトラマンシリーズの記憶は、丁度前作の「ベリアル銀河帝国」で堰き止められているので、都合良く続きに則ることが叶った。3作前の「ウルトラ8兄弟」でメタ的な要素を取り入れ、その後の「ウルトラ銀河伝説」からはグリーンバックを用いたCGアクションを展開した。正直、「ウルトラ8兄弟」がジャンルの結末として大いに仕上がり切っているため、これを越えなければならないという続編への負担は多大なものである。実際、続編のCG多用もそこから逃げた末の結論だと私は踏んでいる。

そうした変遷を加味した上で今作は、「軌道修正」的なニュアンスが全面に出ている。特に導入ではその色が濃い。巨大な怪獣やウルトラマンを下からあおるようなショットや、ジオラマ内を縦横無尽に映すショットは、明らかに従来の特撮イズムを湛えている。その後は打って変わってゼロの登場と共にCGを多用する戦闘シーンが続く。つまり、この「ウルトラマンサーガ」は前作のCGイズムと、従来の特撮イズムを融合したような作りになっている。それは、特撮のそもそもの価値を想起させるとともに、ここまでの変遷を否定しない完璧な解釈の提示となった。
ゼットンvsサーガの最終局面なんかは、CGの良さと特撮風味が相生して、魅力的な仕上がりになっている。

しかもゼットンというウルトラマンシリーズの最も明快な強敵像をもってくるという配役のセンス……、同じシリーズものとしては007の「スカイフォール」→「スペクター」の流れに通ずるスマートさがある。

それだけに留まらず、普通に話も楽しめるので、お茶の間を沸かすには丁度良い作品だろう。個人的には、ゼットン星人以外に操作されてるゼットンなんて好きではない…「昔からそうやってきた!」のシーンで「俺もだよ!!」と暴走してほしかった、、まぁ、怪獣に目を向ける童など異端なのだろう……悲しきかな
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