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レイトオータムのioのレビュー・感想・評価

レイトオータム(2010年製作の映画)
4.0
3日間の一時的な釈放を許された服役中のアンナと、女性を喜ばせるジゴロ的なお仕事をしているフンがシアトルで束の間を過ごすお話。

ヒョンビン目当てで鑑賞。

大人で静かで余韻の残る作品。余白も多くいろんなことを考える作品でした。

それぞれに色々を抱えた赤の他人同士が、出逢い、言葉を交わしすれ違う一瞬。分かり合えているようで分かり合えていない。分かり合えていないようで、分かり合えている。絶妙な揺らぎと距離感。

特にアンナの中国語での語りに対し、フンが「ハオ」と「ファイ」で答える場面は素敵だった。言語が違う者同士、相手には伝わらないことを覚悟の上で語るという行為。相手の話が分からなくても相槌を打つ行為。そこに流れる空気感。言葉で意思疎通できない時は、相手の目や雰囲気や抑揚で感じ取ろうとする。言葉以上に本人が伝わるし、それでもやっぱり事実は伝わらない。

過去を知らなくても、本性を知らなくても、たとえ演技やゲームとして相手に近づいていても、2度と会えなくても、言葉や文化が異なっても、束の間の恋でも、それでも相手の接し方に惹かれ、相手の雰囲気に惹かれ、何年も想い続けたり、美しい思い出になったりする。この儚さ。

シアトルが舞台なのも秀逸で、多国籍な土地柄だけれど雨降りが多く重厚な雰囲気が作品によく合ってた。あの街並み、パイクプレイス、1stスターバックス、アヒルのツアー、スペースニードル、美術館、全てが懐かしい。

あと、アンナとフンはそれぞれ痴情のもつれに巻き込まれている面で似た者同士。本人たちはお互いに知らないけれど、観客は理解して観てるわけでその辺りのつくりも上手だなぁと思いました。幼馴染とフンの喧嘩シーンで、フンがアンナを想っていること、慮る能力があること、アンナの心の解放にまで繋げていてすごい。

メモ。
夫ーアンナー幼馴染
白人男性ーオクジャーフン
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