宮殿に従事している召使いの娘が、令嬢の婚約者となる王子の心を射止めてしまう。16世紀のインドを舞台にして、愛欲の渇望と破綻を描いている、エロティック・ドラマ。

性の求道者となったヒロインが、カーマ・スートラの精神に則り、性愛の真理を学び取っていく。異国情緒と自然風景を大事にした映像作りに拘っているため、真っ当な文芸映画の領域に入っている（言語は英語台詞になっている）。

カーマ・スートラの指導者が女性であり、女性側の観点から性愛の在り方を説いているところが刺激的。彫刻家の職人脳を利用した恋愛模様も描かれており、各シークエンスに魅力が備わっている。

中盤部に入ると、高級娼婦（＝魔性の女）に変貌したヒロインが、「Let it go!（流れに沿って突き進め！）」の精神を滾らせながら、宮殿の人間たちを翻弄していく。愛欲に忠実な女性の「咲き乱れ状態」を堪能することが可能。