半兵衛

天使の顔の半兵衛のレビュー・感想・評価

天使の顔(1953年製作の映画)
3.5
メンヘラ女に目をつけられた男が味わうメロドラマ風に味付けされた恋愛地獄に最後までハラハラした、彼女と付き合わされる羽目になるロバート・ミッチャムはさすがに彼女の目論見に何となく気づいておりそんな二人の駆け引きによるせめぎ合いはもはやサスペンス。メンヘラヒロインを演じるジーン・シモンズ特有のあの目付きがいかにもヤバそうな女性のキャラクターにぴったりだし、彼女の演技の上手さがヒロインのクレイジーさをさらに引き立てる。ただし個人的には彼女が美人とは思えないし、ミッチャムが前から付き合っていた恋人のほうが美人なので間で苦悩する展開に今一つピンと来なかった。

あと中盤のある事件に巻き込まれた二人が裁判に巻き込まれる物語も結果が見えているので緊張感があまり無かったのが難点、どうせ偏執狂の女に狙われ苦悩する男の話なのだからミッチャムを精神的に追い詰めていく悪夢のようなエピソードの方が盛り上がったかも。

ラストの結末はわかりきっているけれど、最後の最後までお客を引っ張る手腕はさすが腕のいい監督は違うと思ってしまう。そして痺れてしまうラスト一分でのスピーディーな終わらせ方。

ヒロインが居る豪邸の使用人に日本人夫婦がいるのだけれど、彼らのコミカルな言動に気分が安らぐ。あとこの当時のアメリカ映画ではまともに日本語を喋っている(日本人から聞いてもあまり違和感がない)のに感心する。
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