半兵衛

愛と哀しみのボレロの半兵衛のレビュー・感想・評価

愛と哀しみのボレロ(1981年製作の映画)
3.8
例え戦争が起こっても音楽は人々の心を癒し、次の世代に確実に引き継がれやがてそれは国をも結んでいくことを四つの国の様々な家族のドラマが耽美的な長回しで綴られていく語り口は魅力的だし、音楽のチョイスも見事。なによりバラバラに描かれていた各パートが一つになり参加する音楽ショーによるラストも素晴らしい。

ただ一人二役で親と子の世代を担当したり、それを何も説明しないので見ていて混乱してしまうのが難(私はジェームズ・カーンが前半と後半では違う人物とは気づかなかった)。そして説明がないぶん見てる側が要素を拾って自分の頭で状況を整理しなければならないので見終わったあとちょっとした疲労感に襲われる。完全版は五時間もあるらしいが、最後まで鑑賞できるか不安。

四十年という長い時間を数時間でまとめるため、出会いの場面は目線だけで省略されるが不思議と心地よい。あと『ゲームの規則』を彷彿とさせる戦争への突入を予感させる演出も◎。

あと一人二役を完璧に演じ分けるジェラルディン・チャップリンの演技が圧巻。
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