菩薩

もっとしなやかに もっとしたたかにの菩薩のレビュー・感想・評価

3.6
母である女は子育てに疲れ切り旦那との将来を憂い家を飛び出し、養父の性的虐待に耐えかね家を飛び出た若い娘は行きずりの男の父の臨終に立ち合い、その場に間に合わなかった「母」を演じて見せる。ニューファミリーなるフレーズを拾いあげればこの作品の意図するところが伝わって来るし、戦争により壊滅的な被害を受けた家族制度が二度のベビーブームで辛うじて復活するものの、そこで産み出された子供達が後にバブル世代へと成長し、今日まで続く低迷期の礎を担う存在となっているならば、最後に墜落するラジコン飛行機は後の日本社会そのものであると言える様な気がする。殺さずとも死ぬ男と殺しても死なない女、しなやかにしたたかに、多大なる自己犠牲を強いて来た旧社会制度からの脱却や、女性の自由を高らかに謳った作品として観れば、森下愛子の乳白色のその膨らみ以上に大事な物が見えてくる作品なのではないか。にしたって森下愛子だし高沢順子だし、奥田瑛二は役得過ぎてムカつくし、風間杜夫はなんかめちゃくちゃキモいのだが。乳首に対する執着は信頼の証、ニューファミリーよりニュートーって事ですね(ちげぇよ)。
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