レク

ウィレム・デフォー セブン:ビギンズ 〜彩られた猟奇〜のレクのネタバレレビュー・内容・結末

3.0

このレビューはネタバレを含みます

邦題のセンスのなさ。
原題のままアナモルフでいいのに。

アナモルフォーズとは、歪像画とも言われる所謂隠し絵や騙し絵のことです。
見る角度や距離、遠近法を利用して描かれたもので、ある視点から見ると隠れていたものが現れてくるという仕組み。

この作中にも出てきますが、アナモルフォーシスで有名なハンス・ホルバイン作『大使たち』。
この作品の手前にある細長い物体もアナモルフォーシスの技法を使った例で、斜め上の角度から見ることで頭蓋骨が現れます。
かの有名なレオナルド・ダ・ヴィンチが斜面投影を使用したことが始まりだそうで。

ある視点から見てるだけではその物事の全容はわからないって教えみたいですね。
主観と客観の違いとは少しニュアンスが違うかもしれないけれど、物事を自分の先入観や価値観、物差しで測るだけでは気付けないこともあると思います。

あ、前置きが長くなってしまってすみません。
この作品はサスペンスとしてはそこそこいい雰囲気出してます。
BGMもなかなかいい感じでした。

主人公とアンクル・エディ猟奇殺人事件を絡めたストーリー展開。
今回の事件は模倣犯なのか…それともアンクル・エディ猟奇殺人事件は解決していなかったのか。

そして、一番の見せ場が犯人の殺害現場の装飾。
壁に投影される臓器を抜かれ逆さ吊りにされた死体。
バラバラに切り刻まれた人体ジグソーパズル。
一見、無意味に見える殺害現場もある視点から見れば一つの作品となる。

その芸術性の高い殺害方法は現実的にみればかなりセンスがあっても一人じゃ限界があるかと。
しかし、かなり手の込んだものです。
このアナモルフォーズを用いた殺害現場があまりにも印象的で、肝心のストーリーが少し曇ってしまったような気もします。

一番残念なのがオチ。
呆気なさすぎるのと終わり方がイマイチで序盤や中盤と比べると失速気味かと。
やはりサスペンスはオチが大切ですね。
個人的に、ハッピーエンドであれバッドエンドであれ、終わり方に矛盾点や違和感がなく、納得出来る内容かどうかでその善し悪しは変わると思ってます。

最後の直前まではなかなか良い展開だったんですが、アナモルフォーズという良い題材を最後の最後まで活かしきれなかったって感じです。
レク

レク