自宅で友人1人と。
1999年のアメリカの作品。
監督は「チャイルド・ショック」のロッドマン・フレンダー。
あらすじ
高校にも行かずにマリファナを吸いながらテレビばかりを観ている生活を続けるアントン(デヴォン・サワ「ザ ・チェイサー 真実の瞬間」)。ある日、それまでの怠惰な生活が災いを呼び、右手に悪魔が宿り、本人の意思とは無関係に次々に家族や友人たちを惨殺してしまう。次のターゲットが片想い中のモリー(ジェシカ・アルバ「トリガー・ウォーニング」)であることに気づいたアントンはゾンビとなって蘇った友人たちの力を借りてモリーを救おうとするのだが…。
配信ではなかなか観れない映画を観てみようのコーナー、題して「Digムービー」。かなり久しぶりの13回目となる今回はもう今年はとっくに過ぎてしまったけどハロウィンムービーなこの作品!!
まず、今作を知ったきっかけが「映画.com」の「ハロウィン映画ベスト21」という記事(調べれば今でも読めます。)。米バラエティが選出とあって、我々日本人ではなかなか観たことも聞いたこともない映画もチラホラあって、その中で今作が12位にランクインしていて、調べてみたらなかなか面白そうだったため、調べたらAmazonで売っていたので速攻ポチって今回友人とピザを頼んで観てみました!
お話はあらすじの通り、殺人鬼ものなんだけど、なんとその殺人鬼が悪魔が宿った自分の右手だった!という、かなり変わり種の内容となっている。
他の作品でも「自分自身が敵」みたいな内容の作品はあるけど、今作は自分「自身」ではなく、その「右手」だけが敵というコメディ要素と、パッケージがかなりポップな見た目で騙されるんだけど、やってる事がかなりエゲツない。
例えば、冒頭、主人公アントン不在のまんま、ハロウィンの準備を終え床につく両親をジャンル映画節全開のスリラー展開で姿を現さない右手が襲いかかるシーンがあるんだけど、「ベッドの下にいるぞ!」という子ども騙しな恐怖展開から舐めて観ていると、血しぶきは飛び散るわ、引き摺り込まれたベッドの下でゴリッゴリッと不気味な音がするわでしっかりと襲われて多分殺されちゃった感ビンビンのフラグを立てる。
で、その後アントンがぶつかった拍子に室内に置いていたパンプキンヘッドの人形が実は両親の死体にすり替わってるんだけど、見つかった死体はお父さんは白目剥いて舌出してるわ、お母さんは片目くり抜かれてるわで、かなりグロい!!
しかも、その後両親の死体を見つけたアントンがマリファナ仲間で悪友のミック(セス・グリーン「レゴバットマン ザ ・ムービー」)とブナブ(エルデン・ヘンソン「恋するスピヴァグ」)を連れて改めて死体を見に行くんだけど、そこで遂にアントンの右手が意識を持ち、ミックはおでこにビール瓶がめり込んでぶっ刺さって殺されるわ、ブナブは背後から電鋸のノコギリを手裏剣のように投げられてクビチョンパにされちゃうわでスプラッター全開!!
もうものの数十分で両親と友人2人計4人も殺害しちゃう立派な連続殺人鬼となってしまうという絶体絶命の大ピンチから始まるんだけど、今作が面白いのが割と主人公アントンがこんな絶望的な状況下なのに割と余裕なんだよね。
そもそもこのアントン、普段は高校にも行かずにパンイチで日がな1日マリファナを吸いながら、MTVを見まくっているという生粋のクズ!両親が殺されちゃった後もミックから唆されてナツメグとオレガノを混ぜて作ったお手製のマリファナもどきで咳き込んだり、両親を刺したであろう血がべっとりついたナイフに気付かずに、バターをつけてパンを挟んで食べちゃうというお気楽っぷり!
計4人を殺した後も証拠隠滅とかそれほどせずに死体を自分家の庭に埋めちゃって「成仏しろよ」とかいう始末。なんつーか全体的に作りがシニカルでブラックな笑いに塗れているのが面白い。
で、ここから更に超展開に入っていく!なんとその死体を埋めた庭からゾンビ化したミックとブナブが蘇っちゃう!!特に理由もなく、光りのトンネルを「行くのがめんどくさかったから。」という理由だけで拒んだ結果蘇っちゃったんだけど、ミックはビール瓶は刺さってるわ、ブナブは首と胴体が別々に動くわでモロゾンビ!!
で、そんなこんなでアントンとゾンビ化した友人3人による右手抑制のためのあれやこれやが描かれていくんだけど、近所に住む不良のランディ(ジャック・ノースワジー「アイ・スピッド・オン・ユア・グレイヴ アナザー」)から聞かされた「暇な手は悪魔の遊び場」というアメリカのことわざから着想を得て、亡きお母さんの趣味だった編み物をして気を紛らわせたりするんだけど、結局上手くいかず、最後は包丁で自分の右手を叩っ斬っちゃう力技!!もうこのシーンも普通に切断面エグかったり、アイロンで切断面を焼き切る乱暴な応急処置をミックがしたりと悪趣味極まりないんだけど、ようやくこれで右手との意識が離れると思ったら、この右手そこから自立して人を襲い始めちゃう!!
ちなみに、ここからの自立した悪魔の右手を演じてるのは「アダムスファミリー」シリーズで同じ「手」のキャラクターを演じた俳優兼マジシャンのクリストファー・ハンドだったりする!モノホン引っ張ってきてるぅ!
で、そっからは、まだティーン真っ只中のジェシカ・アルバ演じる、アントンの片想いの相手モリーが右手のターゲットになってしまい自分の家を飛び出して、舞台はハイスクールのハロウィンパーティー会場へ!!ここのシーンはカボチャなどのハロウィンの飾りがそこかしこに飾られていたり、参加者のほとんどが仮装している中で大パニックになったりとハロウィンムービーとしての度合いも益々増してくるんだけど、カーSEX中のカップルの行為にまるでフェイスハガーのように不気味に忍び寄った右手が彼女のオッパイを彼氏と一緒に揉みしだいた後に彼氏共々血祭りにあげたり、ハロウィンパーティーでメロコア全開で歌ってるパンクバンドのボーカルの頭上から右手が降ってきて頭の皮を引っぺがして脳みそ丸見えになったりとグロの度合いは止まることを知らない!
で、右手も殺人を重ねていくと同時に見た目も黒ずんで爪も鋭く尖らせていよいよ悪魔感を増していく中、モリーが右手に攫われて絶体絶命の大ピンチのクライマックスどう決着つけるのかと思ったら、ブナブが作ったお手製巨大マリファナ装置でマリファナを右手に嗅がせてハイにしてダウンさせちゃうという、まさかのマリファナパワーでピンチを打開するというぶっ飛んだ決着!!
友人が急にゾンビ化したり、それまで話したことのないモリーが都合の良いビッチだったりとあれ?もしかしてこれ夢オチだったりする?と途中で予想したりもしたんだけど、そんな安直な感じには落ち着かずにラストもラストでかなり皮肉の効いたオチを用意していて、全体的なノリといい、オフスプリングをはじめとした当時のパンクバンドの要所要所の効果的な使い方といい、なんつーか総じてパンクソウル溢れる一作だった。
なるほど、これは90年代カルト的名作という謳い文句も納得の出来!!
というわけで、今だとDVDですがAmazonなどでお求めやすい価格で取り引きされてますので気になった方は是非!!