Shoya

平成ジレンマのShoyaのレビュー・感想・評価

平成ジレンマ(2010年製作の映画)
4.3
またも衝撃的なドキュメンタリー作品を観た。

戸塚ヨットスクール。
私はこの校長に同意できない。
いつでも笑顔で話すその姿は、宗教者のそれにも似て恐怖すら感じた。

彼は体罰の肯定を説明する際、
「犯意は目的を持っていないとおかしい。利益を得るとか。」
と言った。つまり教育の目的があって体罰をしたのであって、自分自身が利益を得る目的はない、と。自らが振るった暴力に犯意はなく犯罪ではない、と。
これには違和感を覚えた。
この作品の中では、戸塚校長やコーチが訓練生に暴力を振るっている様子がそのまま記録されている。それがどう見ても必要以上のものに見えるのだ。
あそこには教育を越えたものがある。
暴力を振るうことで覚える快感。あの暴力で戸塚校長やコーチは快感や優越感を得ているようにしか見えない。

校長は言う「生徒と先生が平等ではいけない」と。
それはその通りだ。
でも、だからと言って、直立して目を見ながら「消灯してもよろしいでしょうか」と聞く生徒に、顔も見ずパソコンをいじりながら「うい」と返して良いものではない。礼儀は見て覚えるものだと思う。

しかし、一つだけ戸塚校長の言葉で胸を打つものがあった。
「教え方がどうのこうのではない。覚え方やろ。教え方が良いのが良い先生なんていうのは馬鹿げている。」
これはとても教育の芯を捉えた意見だと感じた。
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