ShinMakita

プロフェッショナルのShinMakitaのレビュー・感想・評価

プロフェッショナル(1981年製作の映画)
1.7
アフリカの小国マラウィ。1人のフランス人が法廷で有罪判決を受け、強制収容所に送られた。彼の名はジョス・ボーモン。フランス諜報部の工作員で、大統領ンジャラ暗殺のためにマラウィに潜入するも正体が露見し拘束された身だ。しかしこの逮捕は、フランス諜報部が前もってンジャラ側に彼の存在をリークしたためであった。暗殺命令直後にフランスの政権が変わり、暗殺が国益に反すると判断されたのである。味方に売られ拷問・強制労働に苦しむことになるジョスは、必死に過酷な日々を耐え抜いていく。そして2年後、ついに脱獄に成功するのだった。

パリ…ンジャラ大統領の訪仏に合わせ、故郷に戻ったジョスは、諜報部宛に「任務を完了させる」と電報を送りつける。これを読んだ諜報部トップのマルタンは驚愕し、非情な猟犬ロゼン警視にジョスの追跡を依頼する。フランス政府はンジャラとアフリカの地下資源絡みで契約を締結しており、暗殺は必ず阻止しなくてはならない。だがジョスは断固としてンジャラ暗殺を遂行するつもりだった。一度請け負った任務は完遂させる。それがプロフェッショナルなのだから…


「プロフェッショナル」。ベルモンド傑作選の目玉です。日本劇場未公開だったということで勇んで観てきました。


以下、「ネタバレが怖いか?」「全然」「俺は怖い」「…だろうな。あんたは間違いなく地獄行きだから」

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ハードかつシリアスな復讐ドラマなのにベルモンドが主演…そのギャップが特徴。前半、依頼主にハメられ投獄→脱獄の流れは、初期のゴルゴ13っぽい展開。実際、M16のバッタもんみたいな狙撃銃が出てくるし。このあたりのベルモンドは、いつもみたいな軽い感じが全くなく、極めてクール。ところが、パリに帰ってからナンパなベルモンド節が炸裂してしまいます。わざわざ敵に予告電報を送り(復讐のモチベを上げるためらしいけど)、追われているはずなのに妻ジャンヌの元に忍びこんでイチャイチャ、愛人アリスのアパートに転がりこんでイチャイチャ、娼婦ドリスと知り合ってニヤニヤと、暗殺準備の様子など微塵も感じさせず、オンナと寝ながら追っ手の雑魚をいたぶって楽しんでるだけという(笑)。特に警部補見習いに格下げされたファルジュはお気に入りのようで、散々な目に遭わせていました。ロゼンとの関係もルパン&銭形みたいな好敵手どうしなのかと思いきや、いきなり命の取り合いになってシリアスになるんだけど、そんな時にも間抜けな花屋が現れて笑いを誘ったり。ちょいちょい出てくるベルモンドらしい茶目っ気やユーモアが、この硬派なドラマの中で凄く浮いてるんですよね。ま、プロットが硬派でも、全編軽く笑える展開ならまだ許せるんだけど、笑わせたかと思ったら突然暗い話になって、なんなら胸糞な描写が突発したりするんですよ。だから観ていて結構疲れます。いよいよンジャラ暗殺、というタイミングの展開はかなり皮肉が効いてて爽快なんだけど、ラストでまた鬱になるんだよな。主人公の行動がドタバタすぎて一貫性がないのはいつものベルモンド映画。でも、シリアスなラストはジョン・ル・カレ的。このアンバランスを楽しめるかどうかは、観客次第です。

あ、モリコーネのテーマ曲、しっかり耳に残ってしまうんだが、少々しつこかった。
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