櫻イミト

コルドリエ博士の遺言の櫻イミトのレビュー・感想・評価

コルドリエ博士の遺言(1959年製作の映画)
3.5
ルノワール監督版”ジキル博士とハイド”。主演は「天井桟敷の人々」(1945)のジャン=ルイ・バロー。

フランスで本格的にテレビが普及しはじめた1959年、映画館とテレビで同時上映する新プロジェクト作品としてルノワール監督とテレビ局が企画制作した一本。ルノワール監督はテレビの複数カメラ収録方式を取り入れることで、ワンシーンノンストップ撮影による演技の集中力向上と予算削減を実現できたと語っている。

今となっては当たり前に用いられている手法だが当時は画期的だったと思う。しかし映画界とテレビ界の敵対によりプロジェクトの広がりは無かったとの事。

名優ジャン=ルイ・バローによるジキルとハイドの演じ分けが見事だった。ハイドの演技はチャップリンとビートたけしをプラスしたような動きで、奇人の表現方法について考えさせられた。

※同監督「草の上の昼食」(1959)と同年の作品。
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