まっさん

若者のすべてのまっさんのレビュー・感想・評価

若者のすべて(1960年製作の映画)
4.2
良かった。

母が理性を欠き、何かにつけ動揺ばかりする教養のない女であるのは、腹が立ったし、イタリアや日本にいまだに残っている、古い家族のつながりの腫瘍のようなものを見せられた気分になった。その表象自体は胸糞が悪いが、この悲劇が、決して冷淡ではないチーロのような進歩的な考えを持った弟によって幕を閉じるのが、イタリアの家族の古さと悲惨さをまとめていてよかった。

引きの画は固定されていることが多く、被写体との距離も構図もバランスが取れていた。動いて撮るときも手堅い印象を受けた。物語に集中できるような撮影で、非常に見やすかった。アラン・ドロンのさまざまな表情を寄りで収めるカットは、彼の演技も相まってひときわ印象的だった。

アラン・ドロンは純粋で優しく、勇敢な青年像を見事に演じており、ナディア役の女優も軽薄さや下劣さと、それに対しロッコ(アラン・ドロン)と恋に落ちているときの、ひと時の純粋さとを見事に演じ分けていた。

全体的に面白かった。もっとイタリア映画を見ていきたいと思った。
まっさん

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