イチロヲ

悪魔と魔女の世界のイチロヲのレビュー・感想・評価

悪魔と魔女の世界(1956年製作の映画)
4.0
催眠術で中世へとトリップした女性が、魔女狩りの脅威に晒されている前世の自分を救い出してしまう。史実を改変させた女性の危機的状況を描いている、タイム・パラドックス系サスペンス・スリラー。

「生への渇望が、死を呼び起こす」という、アンビバレントな境遇を表現している作品。心霊学者の実験により過去世界へと精神を飛ばすことに成功した女性が、前世の自分と交信を開始。"彼女を生かす"ということは、"今の自分が死ぬ"ということになる。

魔女狩りの世界が、極めて見世物的に描写されているため、映像が愉快なことになっている。過去ヒロインの恋敵となるグラマー魔女、パントマイムで動き回る小人、人間の欲望に訴えかけてくるサタンなど、"変なキャラ大集合"を楽しむことができる。

サタンが呼び出したスレンダー美人の死霊が、妖艶なダンスを見せてから墓穴に帰るという最高のパフォーマンスを披露。未来への干渉を知らされた過去ヒロインの葛藤劇も真に迫っており、古典でありながら普遍性を感受することができる。
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