いの

ベン・ハーのいののネタバレレビュー・内容・結末

ベン・ハー(1959年製作の映画)
4.8

このレビューはネタバレを含みます

上映時間長すぎる〜〜…と思ったけどめちゃくちゃ面白くて飽きずに観てしまった。

ラストシーンはキリスト教的救済の話っぽいんだけど、それ以外のところは見所も多いし、個人的に凄くいいな〜!!と思うシーンもあった。
以下例。

ジュダは死に体になっていたところにイエスから水を貰って母と妹の為に(+復讐のために)まだ死ねないと思い直して、船の上で足枷を解いた将軍に恩を返すために助け(もちろん最初は打算があるけど)、将軍に忠実に仕えて養子にされるまでの働きをして、最後にイエスに水を与え返す。ジュダとしては「すべての出来事は神の御心のまま」なんだろうけど、本人が善の選択を行うシーンはやっぱり美しいと思う。
本人が「神の業」だと思っていても、支配者であるローマ人である将軍に誠心誠意(しかも3年?も)仕えるほどの善は普通ないのよ。だけどジュダは「神の業」だから、って許しちゃう。敵なのに。
ローマ人に対して終わりのない憎悪を向け続けるんじゃなくて、恨み骨髄だろうけど、神のような心で許してしまうシーンがある。そういう宗教が人の心を自由にする瞬間はかくも素晴らしいんだな、と思った。(宗教っていうのは何の神を信じているかじゃなくて、自分が信じているもの(神でも神じゃなくてもいい)に恥じないように生きるにはどうすればいいか・善く生きるとはどういうことかを示してくれる一筋の光のようなものなんだよな…と個人的には思った)

信じることで何かを失ったり不幸になる宗教は真の意味で宗教ではないのだ、というようなことを言っていた人がいた気がするけど誰だったか忘れてしまった。

きっと何の神を信じていても、ありとあらゆるすべての神を信じていなくても、結果的に他人に救いの手を差し伸べる様子は素晴らしいのだ。

自分自身典型的な日本人で特定の神を信仰しているわけじゃないからこういうことを思うのかもしれないけど、相手と信じる神が違くても、自分のちょっとした善意で救える心があるのかもしれないな、と思った。すべての人類の罪を背負うことはできないけど、渇きで死にそうなジュダのような人に水を与えることくらいはできるかもしれない。
いの

いの