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殺人者はライフルを持っている!のmuscleのレビュー・感想・評価

5.0
めちゃくちゃおもろい。テキサスタワー乱射事件から2年でこういう映画作れるということに結構感動してしまう。「これが現実か」というラストのセリフも含めて否が応でもルックバック思い出したり。湿っぽくなくて妻を吹き飛ばすところ含めて娯楽を徹底しているのが偉い。
貯水塔から打ちまくるところの興奮がやばい。映画館で一番後ろの席から映画を見れば数センチになってしまうのと同じように、手を伸ばさなくても高速道路を走っていく車は遠いはずなのに、なにより発砲している弾も安くて小さいはずのに、大きな車が次々横転していく。スクリーンの裏に空いた小さな穴は誰にも見つけられないが、着実に人の身体を壊していく。そういう小さくなることが現実感をないまぜにしていくという感覚がダイナミックに伝わるからおもろい。
映画がはじまったかと思ったらそれが映画で、撃たれるかと思ったらボリス・カーロフはフェイントで…という構成がいかにも映画好き青年が撮った映画っぽいのだけど、それもいい。ラストのドライブインシアターのシークエンスでゴチャゴチャした場所を把握させない撮り方をしていて、ほぼ『アメリカングラフィティ』と同じように、ただ空間を広く見せるための嘘ついた撮り方。ボリス・カーロフが文句を言ってる部屋をパンしたら犯人の部屋になってるところもおもろかった。

脚本の書き直しにサミュエルフラーも参加してるらしい。「サムはいい青年だ…」というセリフはそこへのエクスキューズ。
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