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殺人者はライフルを持っている!のbのレビュー・感想・評価

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虚構(往年の映画スター)VS現実(ライフルで理由なき殺人を行う青年)


今のことを考えるとこのころはまだシンプルでよかったなと思うぐらい
実際遭遇する確率の低い人殺し(無敵の人)より陰謀論だのその手の話を引き合いにして外部の威を借りつつ恐怖で煽って対外的に自分をメインストリームに寄せて、ネット文化に同化して懐に入り込んでくる静かに狂ってるやつのほうが身近でリアルという意味ではアメリカンニューシネマ特有の社会に不満があってキレる若者像ですら出涸らしてるものを覚えてしまうな

虚構を揺さぶる恐怖が「ライフル」からより簡単に手に入る「情報」に置き換わってるだけで「目覚めよ」とか陰謀論を展開して”好みの真実”を垂れ流してる陰謀論系youtuberやその手の話で自分に注目を向けてなびかせようとしてる人がこの話のなかにでてくる青年と紙一重といえる
知られてるから観たけどポストモダンに生きるうちらにはあくまで一つの時代の話に映る
だから映画スターの老人が最後に言った「これが現実か」もあまり真に受ける気になれなかった。というか逆にそう思ってしまう方が危ない

青年にきれいな奥さんがいながらその奥さんの両親と一緒に暮らしてたけど家族の中でもなんだか彼はアウェイだったし良き夫を演じないといけないプレッシャーを考えると居心地の悪さがなかなかに伝わる。
そしてそんな孤独な人間を唯一救える可能性を持ってる虚構にすら若い世代のリアルなんか知らない往年の映画スターが居座り続けてる。彼が映画を見て感動できる心があれば話は別だったんだろうけど
少なくともそういう男ではないような描かれ方だし、同時に不満を抱える若者に答えるリアルを描けてないハリウッドの反省らしきものもあったように見えた。ドライブシアターのシーンで流れてる映画なんてほんと酷くつまらなさそうだった。あれ寝るでしょ

グランドセフトオートまがいなことを繰り広げた男とすでに自分は過去の人という自覚があって若者に未来を明け渡したいと考えてる男の対比。
若干老人よりではあるけど若者にも寄り添おうとして間を取りに行ってる映画だった
だからこれでジェノサイドが起きたらもう知らんよ、だろうか?
やはりこういう男には自分にかつて優しい言葉をかけてくれた相手からのおうふくビンタが一番効く。しかも全力ではなくて子供にやる軽い叱る感じのビンタ。最初に言葉を投げかけてあげてたから最後のビンタがただのビンタではないものに見えてくるのがいい
2,3発も食らわせたら幼児退行だ
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