コータ

殺人者はライフルを持っている!のコータのレビュー・感想・評価

4.2
若いスナイパーの殺人犯の物語と引退を決めた老俳優の物語が同時進行で描かれる。やがて2人の物語が交錯する。フィナーレの舞台はドライブ・イン・シアター!

『ペーパー・ムーン』のピーター・ボグダノヴィッチの監督デビュー作。『フランケンシュタイン』のボリス・カーロフ主演。老俳優のキャラクターはボリス・カーロフ本人をかなり反映したもの。

調べてみると、製作背景が実に興味深い。限られた予算と厳しい規約の中、アイデアと創意工夫で佳作を作り上げた、ボグダノヴィッチの映画人としての力量がうかがえるエピソードがちらほら。

いくつかのストーリーが同時進行され、それらがやがて衝突する、といった展開を見て、これはタランティーノ好みだろうなと思ったら、やはり本人のお気に入りだそうで。
映画と現実世界が交錯していく終盤の展開は、やがて『イングロリアス・バスターズ』へと繋がっていくのでしょう。


銃撃シーンの恐怖感。ライフルのスコープの十字線に標的を合わせる、トリガーに指をかける。このとき、カメラは男の指の震えや指紋の質感を捉えている。
あとちょっとの弾みでトリガーが引かれてしまう。そのあとはもう、取り返しがつかない。そんな銃社会の恐怖を感じられる映画でもあった。
コータ

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