harunoma

自由を我等にのharunomaのレビュー・感想・評価

自由を我等に(1931年製作の映画)
5.0

Everywhere, life is a melody
Everywhere, it's wine and romance
So here's to us two and liberty !

とラストの歌しか覚えていないが自由を我等に、
傑作に違いない。五点!
 
すこしyoutube で眺めるだけでも
壮観な横移動のショットを、工場から川へ、そして幾重にもはためくティッカー・テープ・パレードのような画面を揺れる紙たちの中の、大勢の人々の幸福なダンスなど...
やばい、素晴らしいやめておこうと止めてしまう。
またいつか映画館で観れますように。一九世紀人、ルネ・クレール。


とりあえずエリュアール貼っときます
みなさん10代の頃、読みましたよね
しばしの休息。


自由

   ポール・エリュアール
   (安東次男訳)


ぼくの生徒の日のノートの上に
ぼくの学校机と樹々の上に
砂の上に 雪の上に
ぼくは書く おまえの名を

読まれた 全(すべ)ての頁(ページ)の上に
書かれてない 全ての頁の上に
石 血 紙あるいは灰に
ぼくは書く おまえの名を

金色に塗られた絵本の上に
騎士たちの甲胄の上に
王たちの冠(かんむり)の上に
ぼくは書く おまえの名を

密林の 砂漠の 上に
巣の上に えにしだの上に
ぼくの幼年の日のこだまの上に
ぼくは書く おまえの名を

夜々の奇蹟の上に
日々の白いパンの上に
婚約の季節の上に
ぼくは書く おまえの名を

青空のようなぼくの襤褸(ぼろ)の上に
くすんだ日の映る 池の上に
月のかがやく 湖の上に
ぼくは書く おまえの名を

野の上に 地平線に
小鳥たちの翼の上に
影たちの粉挽き場の上に
ぼくは書く おまえの名を

夜明けの一息ごとの息吹(いぶき)の上に
海の上に そこに泛ぶ船の上に
そびえる山の上に
ぼくは書く おまえの名を

雲たちの泡立てクリームの上に
嵐の汗たちの上に
垂れこめる気抜け雨の上に
ぼくは書く おまえの名を

きらめく形象の上に
色彩のクローシュの上に
物理の真理の上に
ぼくは書く おまえの名を

めざめた森の小径(こみち)の上に
展開する道路の上に
あふれる広場の上に
ぼくは書く おまえの名を

点(つ)くともし灯の上に
消えるともし灯の上に
集められたぼくの家たちの上に
ぼくは書く おまえの名を

二つに切られたくだもののような
ぼくの部屋のひらき鏡の上に
虚(うつ)ろな貝殻であるぼくのベッドの上に
ぼくは書く おまえの名を

大食いでやさしいぼくの犬の上に
そのぴんと立てた耳の上に
ぶきっちょな脚の上に
ぼくは書く おまえの名を

扉のトランプランの上に
家具たちの上に
祝福された焔(ほ)むらの上に
ぼくは書く おまえの名を

とけあった肉体の上に
友たちの額の上に
差し伸べられる手のそれぞれに
ぼくは書く おまえの名を

驚いた女たちの顔が映る窓硝子の上に
沈黙の向うに
待ち受ける彼女たちの唇の上に
ぼくは書く おまえの名を

破壊された ぼくの隠れ家たちの上に
崩れおちた ぼくの燈台たちの上に
ぼくの無聊(ぶりょう)の壁たちの上に
ぼくは書く おまえの名を

欲望もない不在の上に
裸の孤独の上に
死の足どりの上に
ぼくは書く おまえの名を

戻ってきた健康の上に
消え去った危険の上に
記憶のない希望の上に
ぼくは おまえの 名を書く

そしてただ一つの語の力をかりて
ぼくはもう一度人生を始める
ぼくは生れた おまえを知るために
おまえに名づけるために

自由(リベルテ) と。
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