bluebean

オペラハットのbluebeanのレビュー・感想・評価

オペラハット(1936年製作の映画)
4.0
今見ても普通にエンタメとして面白いストーリーでした。その上テーマと展開が完璧に組み合わされていて、見事の一言です。

地方から来た純粋で正直で裏表のない主人公が、周りの目など気にせずに思いのままに行動します。思いがけず莫大な遺産を手にしても人間性が全くぶれない。それに対して、お金が第一でシニカルな都会の人々は、常識はずれの人を馬鹿にして、多少誠実でなくてもお金を稼ぐことを良しとしています。

その都会の人の原理で行動するヒロインが次第に苦悩し、最後には主人公の側に心が移り変わっていく流れが、感動的でありながら、構成の見事さに感心してしまいました。

そして観ている側の自分も、序盤は若干ですが主人公の行動を非常識だという感覚で見ていたことをラストの法廷シーンで思い出させられました。都会の人々を敵対するものとして描きながら、大なり小なりそちら側にいる観客へのメッセージにもなっていそう。

法廷シーンでは、言葉を捻じ曲げて戦略的に相手を倒すためのデタラメに貶める相手側を、真っ当な主張かつ完璧なロジックで論破するところはすごいカタルシスでした。
bluebean

bluebean