チャック・ノリスが無双する「地獄のヒーロー（1984）」の前日譚。
普通チャック・ノリスは怪我ひとつしないので、これもチャック・ノリス・ファクトでハイワロとたかを括った観客を置いてけぼりにする内容。ネズミを噛み殺したり、ヒルまみれになったりと体当たりで演じるチャック・ノリスパイセンにみんな惚れ直すって寸法。
MIAを助けに行くのではなく、自分がMIAになっててクライマックスまでは我慢の連続という展開なので、日本でいえば忠臣蔵とか任侠映画のフォーマットに則ってる。
戦争犯罪を認めさせたい＝チャック・ノリスに署名させたいためチャック・ノリスにたちを不用意に生かしているベトナム軍将官と、なにがなんでも署名しないチャック・ノリスに、現実におけるベトナムとアメリカの確執が二重写しになるという地味にクレバーな脚本。
ラストの討ち入りでは危なげなく勝利するチャック・ノリス・ファクトに忠実なチャック・ノリスも拝めて二度美味しい。
ヒルまみれになっても声をあげずにいて、敵をやり過ごしててえらいすごいと思っていたら、敵がいなくなった途端に池に飛び込んで、上着ぶん投げたのは笑った。
公開当時は時系列順に公開するつもりだったのが、１のほうがよくできてたので公開順を入れ替えたとのことで、興行成績も１は大ヒットで、こちらはしょぼヒット。キャノンフィルムの嗅覚すごいんだけど、いまとなっては「地獄の七人」のパクリで荒唐無稽な１より、泥臭い２のほうが面白いという不思議な逆転現象がおこってる。
関連作は「ハノイ・ヒルトン」とかですね。
チャック・ノリスものにしては面白かった！
