ぽん太

天と地とのぽん太のレビュー・感想・評価

天と地と(1990年製作の映画)
2.9
侘び寂び感のあまりない外人受けしそうな邦画です。
合戦のスケールの大きさは一見の価値があります。
これほどの人数で戦国時代を描く作品は今後決して現れないと思います。CGでど迫力の戦闘は描けますが、そう言ったやり過ぎた迫力はなく、実際にその場にいたら相手の陣営がこんな感じで見えたのかな…と思えるような、CGでは描けないリアリティがあります。

ただツッコミどころは満載です。おぉ…と感心させてから、えぇ!?っと思わせるこの緩急が絶妙です。八重さん、突如お経、太鼓、八重さんの仲間たち…もうツッコミきれませんが、人の金とこの人数を使って遊ぶな!と何度も言いたくなります。狙ってこの緩急をつけたのであればそれはそれで才能を感じます。

結局無駄な演出が多過ぎて、肝心の内容が弱いです。個性派が沢山居ながらみんな中途半端に描かれています。

あとエンドロールで小室哲哉を見て、コテコテの和っぽさを出しながら侘び寂び感が微塵も感じられない理由がわかりました。言われてみればとても小室哲哉っぽいです。どうでもいいことですが。

そしてこれはただの不満ですが、迫力はありましたが、血は一滴もでません。刀が赤くなることさえありません。チャンバラもの全般に言えますが、無駄な効果音と一切血が流れない綺麗な映像でリアリティは台無しです。
戦争を描くのであれば、綺麗に描こうと言うのは戦った全ての人に対して失礼だと思います。綺麗に描きたいなんてぬるい気持しかない人に戦争を描く資格はないと思います。これだけのお金と人員を使って、内容の重さは歴史の教科書で1ページで収められるほどだと思います。
今は反動かやり過ぎている感がありますのでなんとも言えませんが、ずーっと違和感を感じました。
ぽん太

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