精神疾患を持つ人を対象にしたドキュメンタリーというと相田和弘監督の「精神」が思い浮かぶが、この作品は対象が女性限定。
数人の女性へのインタビューがメインで、その合間にイメージ映像が挿入される。
「精神」は、こらーる岡山という精神科の診療所に関わる人々を相田監督の「観察スタイル」で撮影した作品で比較的淡々としている印象を受けるけど、この作品は露骨に精神疾患を持つ者の苦悩や過去が描かれる。女性ばかりなので虐待やレイプの体験談が多く、相当ハードなエピソードが次々と語られる。
酷い話ばかりで同情するが、これだけ羅列されると一昔前にテレビでよく放送されていた昼間のワイドショーを見てるような気になってくる。
以下ネタバレ
そして、元社会主義運動家で統合失調症のアジア系の女性がいきなり強姦殺人されて驚きのエンディングを迎える。心底驚いたしとてもショックだったけど…これ精神疾患と関係無くないか?これは本当にハプニングだったんだろうと思うけど、映画としては散漫になってしまった。
最後の最後、女性の一人がスーツケースを持って海に入っていく所を(おそらくこの映画のスタッフが)撮影している所を俯瞰で撮ってる画になり、何故か女性が波に打たれてコケる所のストップモーションでコミカルに終わる。…意味わかんねえ。
ショッキングな作品ではあったけど、監督がなにを描きたかったのかはイマイチ分からなかった。
ちなみに「精神」はモザイクをかけない事が話題だったけど、この作品もモザイクはかけていない。