ひょいと不思議な作品がリリースされるのがDVD廉価版。
本作は50年代のポップスターが続々登場の歌謡映画。

元夫婦のマネージャー業、グレースとルーは互いがマネージメントする若い男女ピートとハニーをデュオとして売り出し、成功。だが、互いの思惑で若い二人の仲を裂き、ソロ活動にさせる。この二組のカップルが和解し、ピートとハニーが音楽祭で共に歌うまでが描かれる。

ストーリーは単なる団子の串で映画の眼目は次々登場する当時の流行歌手達。
ファッツ・ドミノや「火の玉ロック」のジェリー・リー・ルイスらが、全米カナダを中継でつなぐチャリティショーやソロとなったピートのロンドン公演前座、音楽祭参加という設定で次々とストーリーにはまったく絡まず単に曲を披露。86分の映画になんと二十曲以上が。

ロック映画とＤＶＤカバーにあるが、男声コーラスグループやら闘牛士やらハワイに材をとった歌謡曲やらも含まれているのでやはり歌謡映画と言いたい。各地の個性的なラジオＤＪがチャリティショーで登場というのも予告編の頭から取り上げられている映画の売り。宇宙人の異名を持つＤＪが宇宙服姿で登場したりとＤＪ側も力が入っている感。

また年代が年代なので健全なかぎりである。やっぱロック映画と銘打つならセックス、ドラッグ、バイオレンスが絡まないとなぁ(ってそういうロック観もいまどきあれだが)。古き良きアメリカン・ポップスにふれたい人向き。

ロックンロール黎明期の周辺ミュージシャンが多数登場。

白人と黒人の文化を比較して後者が「身体的」であるがゆえに優れているかのような言説を信じることは全くない

だがね

ジェリー・リー・ルイスやカール・パーキンスのような、人種的にも階級的にもクロスオーバーせざるを得なかった人々の映像が前者に所々挟まると、どうしてもこう囁かれているようにしか思えんのだよ
それがたとえ2分ちょっとの時間でも



「こんなものは嘘っぱちだぞ」と