Tutu

ワイルド・アット・ハートのTutuのレビュー・感想・評価

ワイルド・アット・ハート(1990年製作の映画)
3.3
自由の象徴である蛇革のジャケットを違和感なく着こなすナイスガイ、Mr.Snakeskinことセイラーは、恋人ルーラを「ピーナッツちゃん」と呼び溺愛しているが、ある日、二人の交際を快く思わないルーラの母マリエッタから殺し屋を差し向けられてしまう。殺し屋を半殺しの返り討ちにした罪で2年と何ヶ月かと何日か服役する羽目に陥るが、お勤め明け後、刑務所まで迎えに来たルーラとそのままセックス行脚の旅に出る。

シュールな狂人しか出てこないという稀有なロードムービー的ラブコメディ。感性が吹っ飛びすぎていて僕程度の人間には到底理解できないメチャクチャさだが、別に理解なんか出来なくてもいい。この映画はニコラスさんの美声とラストの『ラブ・ミー・テンダー』さえ観ることができればそれで良い。本作の99%はラストで大爆笑するための単なる撒き餌だから全然大丈夫。

若いニコラスさんを堪能できる映画だけど、この頃からすでに頭髪の危機が仄かに見て取れるあたりは流石である。しかし、それ以上に流石なのは、この頃からすでに作品選びに妥協が一切なかった点であろう。一応パルムドールを獲ってはいるが、よくこんなメチャクチャな映画に出る気になるわ。さすが僕のヒーロー・ラジー芸人ニコラス・ケイジ。

念のため補足しておくと、「ラジー芸人」という呼称は、B級映画への出演が大好きなニコラスさんに敬意と愛情を持って勝手に僕が付けたものであるが、意外や意外、彼はラジー賞の受賞歴がないらしい(ノミネートは4回あり)。そんな彼が、その気になれば今すぐにでも受賞できそうな部門が一個だけある。それは去年ベン・アフレックが『ゴーン・ガール』で受賞した「ラジー・リディーマー賞」である。

これ、どんな賞なのかと言うと、「役選びで著しい改善が見られた人物に贈られる賞」なんだって。ほらね、ニコラスさんがその気になれば明日にでも受賞できそうでしょ。でもこれってニコラスさんのアイデンティティが瓦解してしまいそうな、危険極まりない諸刃の剣的な賞でもある。ファンとしては悩ましいところだなあ。

しかしまあ僕はオスカー俳優を捕まえてなんて言い草だろうか。クソみたいな映画ばかりに出てしまう押しも押されぬ名俳優・ニコラス・ケイジに幸あれ。

○B級映画的評価
・スコア…☆5.0
・みどころ…ラブミーテンダー