三樹夫

ワイルド・アット・ハートの三樹夫のレビュー・感想・評価

ワイルド・アット・ハート(1990年製作の映画)
3.9
バカップルが駆け落ちして、彼女の母親がそんなのゆるせんと追手を差し向けてくるというシンプルな話。ただし監督はリンチで、話の筋は超絶シンプルなのに頭おかしい人が次々出てきて訳の分からない感じになるが、君は僕の天使だで「Love Me Tender」とカメラクルクルの純愛エンド。
バカップルが両方とも底抜けのバカで、ヤってるかメシ食ってるか寝てるかみたいなもはや動物で笑った。追手を差し向ける母親があたおかマザーで残りの登場人物も全員あたおかと、まともな奴が一人も登場しなくて狂ってて楽しい。
リンチは画でちゃんと見せる人であり、母親は悪い魔女だし、ルーラのすべらない話のゴキブリパンツおじさんはちゃんと映像にしてエピソードが提示されるしで分かりやすい。
ニコケイとローラ・ダーンが対角線上にベッドに寝ているのがシャム双生児っぽい画になっているなど、リンチやっているなというキメた画作りをしている。ウィレム・デフォーのパンスト覆面ガンギマリ笑顔は爆笑した。

たけしは『仁義なき映画論』でこの映画を褒めていて、マンガみたいな画にカップルがジャブやってギンギンみたいなバカで良いと書いていた(母親側は老けた汚い画とイマイチだったみたいだが)。それもそうだろうというのがあって、リンチとたけしって似ているし。どこか目的地へ行く先々に変な人が次々出てくるって『3-4X10月』とか『菊次郎の夏』でやってる。また絵画的な画作りをするのも似ている。ただリンチは老人やフリークス大好きで、たけしはクールな画が好きと好みの違いがあるが。
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