もんてすQ

デスペレート・リビングのもんてすQのレビュー・感想・評価

デスペレート・リビング(1976年製作の映画)
3.1
日本版は一度もDVD化されていない作品のようで、過去にはVHSのみ東映からリリース
ヤクザや特撮、アニメのイメージが強い東映が、どうしてジョン・ウォーターズなのか?
さすがにDVD化すらしていないだけあってレンタル需要が多いようです
再生されまくった感のある、ノイズだらけの映像にVHSテープの劣化と限界を感じました...
不覚にも、テープ自体が『デスペレート・リビング』状態なのです...



精神病院から退院してきたばかりの妻
彼女は被害妄想に取り憑かれた挙句、盗癖のある太った家政婦と二人がかりで夫を殺害してしまう

なぜか速攻で指名手配され、逃げた先は『モートビル』という、殺人を犯した罪人さえ(なぜだかは不明だが)捕まらずに暮らせる街
そのため狂人ばかりが集まっている

しかし街は女王に支配されており、住民たちは理不尽に殺されたり、異常な命令に従わされたりしていた...



序盤から妻がキレッキレ
野球ボールが窓ガラスを破って飛んでくると「私の命が狙われているわ!殺される!」
ガラスを割った野球少年達が「お小遣いで弁償します」と謝っても、「私の命をお小遣いで弁償できるほど貰ってるの!?」と激怒

2人の子ども(兄と妹、かなり幼い)が全裸でお医者さんごっこをする様子を見ては「いやだ!児童の乱交パーティーよ!あんた妹を強姦するだなんて!何のために私立に入れたんだか!」とヒスを起こす

多分、このシーンが原因でDVD化ができないのでは...

被害妄想に囚われた女性も、狂人だらけの『モートビル』においては普通の人間にみえる不思議
『被害妄想以上の被害』が現実に起こっていると、相対的に正常化してしまうのだろう



赤ちゃん(ホンモノ)が冷蔵庫の中にいる回想シーンはめっちゃおもしろ

それ以外は『ピンク・フラミンゴ』並みに下ネタが満載で絶句
特にレズビアン女子プロレスラーの、馬鹿でかい女性器が縫い付けられた衣装は本気でムリでした
というかビアン(演じてる人も本物なんだろうけど)をネタにした笑いが多い
ビアンカップルの濡れ場も多い
虫ネタも...

街を支配する女王様を演じるのは『ピンク・フラミンゴ』で「たまごマン」と結婚したおばちゃん
仕えるのはヴィレッジ・ピープルみたいなシースルーとレザーを身に付けたお兄さん達で、女王とベッドを共にすることも命じられています
誰得な濡れ場があります



セットが恐ろしくチープで、『ピンク・フラミンゴ』と同じく、超ローコストで製作された感じがプンプン
コストと下ネタの過激具合が比例しているのでしょうね...

KONISHIKI系の家政婦が着させられる、悪趣味そのものの衣装は面白すぎる

面白いっちゃあ面白いのですが、女王の横暴ぶりと彼女が結果的にどうなったか、を観てもカタルシスが得られずモヤモヤ
(恐らく、何らかの政治的主張はあるのだろうけれど)
超たまーに観たいぐらい

それにしてもモザイクの多いこと
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