あでゆ

バットマンのあでゆのレビュー・感想・評価

バットマン(1989年製作の映画)
2.8
架空の都市ゴッサムシティで、犯罪者を退治するヒーロー、バットマン。女性カメラマンが彼の正体を突き止めようと奔走する一方で、彼は犯罪組織と対決する。

これはもう単なる感想でしかないんだが、僕の時系列的に観たのが後になってしまったということもあって、やっぱりマイケル・キートンのバットマンも、ジャック・ニコルソンのジョーカーもちょっと違うなと思ってしまうわけです。これはもうしょうがないこと。
やっぱりブルース・ウェインのイメージにはジョージ・クルーニー(あれは映画自体には問題があるが)やクリスチャン・ベールの方があっていると思うし、ジョーカーはヒース・レジャーになってしまうわけだ。

とはいえ、例えばゴッサムシティなんかはただのシカゴやロス何かと違って、割と現実と虚構のバランスよくコミカライズされていて、「ぽい」ように見えるし、ファンタジックな雰囲気もこれはこれでティムバートンらしさがでていて嫌いではない。

バットマンの映像化作品の面白いところは、監督によってそれぞれのバットマン像が作られるところだ。バートンもノーランも、ザック・スナイダーもフィル&クリスもそれぞれが全く別の映像化を行っている。更に単純な娯楽作ではなく、例えば「正義とはなにか」だったり、「友情とはなにか」といったような普遍的なテーマを問いかけ続けているのも魅力だろう。ザック版に関しては微妙だが。

ではこのティム・バートンの一作目に関しては何を説いているか。正直な所、本作は続編の『バットマン・リターンズ』への橋渡しと言うか、バットマンがどういった闇を抱えた人物かということを説明する作品だということは間違いないと思う。しかしバートン版はノーランの作品と違って、ヴィジランテや私刑は正しいのかという問題よりも、バットマンという人物の精神的な危うさをうまく描いている、描こうとしている。なので全体的なコミカルな雰囲気とは違い、彼個人を説明するシークエンスや出来事などは、この作品の段階で既に大衆向け娯楽作の割りにはある程度重く、そして暗い。その辺の前置きが次作の『バットマン・リターンズ』で活かされていくのだけれど。

内容的にはやっぱりジャック・ニコルソンのジョーカーのシニカルな感じはこれはこれで嫌いではなく、あんな最初渋そうなおっさんだったのになんでそんなはしゃいでるんだよみたいなのは抜きにして、彼の演技は素敵だと思う。金ばらまくところとか、踊りながら銃撃つところとかおおと思えるシーンも多く、例えばマフィアの会議に混ざるシーンとか『ダークナイト』でもオマージュされてるシーンは探してみるとなかなか多い。
食事のシーンなんかもいま見ると『LEGO バットマン』とかと被ったりするね。
あでゆ

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