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バットマンのtsuraのレビュー・感想・評価

バットマン(1989年製作の映画)
3.4
ジョーカー鑑賞の前に見た予習作品その2。
これぞある意味本家のご鑑賞。

時代の流れを感じるけれど。
ティムバートンの独特の世界観が爆発した作品だった。

初めてこの監督の作品に触れたのは「マーズ・アタック」でそのチープ過ぎる作りに思考停止で拒絶しててもカラダが求めるという謎現象を子供のころ体験した。

その後もその感覚は彼の作品に出会うたびに感じており私にとってはこの監督さんはホントに評価されるべき監督?と疑問を感じたままだったけど、今回のジョーカーの予習で拝見して、もうそんな勘ぐる様なアプローチは辞めよう、となった。

というかこの監督の奇天烈なところも含めて楽しめばいいのだ!
難しく感じたら自分なりのバイナリーコードにでも変換すれば…楽しめるはず!

というところに辿り着いたわけだ。


で、先ず美術がこの屋台骨を支えてるわけだけども、ティムバートンの持つゴッサムシティが思いの外、ダークというかゴシック調。
それを先ずCGの技術が黎明期の頃だけあってか美術さんのお仕事が遺憾無く発揮されてる。

常連ダニー・エルフマンの音楽も他の監督作品ではあまり印象無いけれど不思議なくらい彼の作品の中ではまるで満開の花が咲いた様なカッコよさを感じる。
テーマ音楽もある意味渋い。


俳優陣も個性的。

こんなディスりは良くないけれど女優(ヒロイン)選びも超個性的…これはあんまり共感出来んな笑

ちなみに主役すら喰ってしまったジャックニコルソン。
マイケルキートンが「バードマン」で抜擢されたのには実は今作の主演以上に彼の存在があったからではないだろうか?

それは彼の演じたジョーカーは他とは全く毛色の違うユニークだけどシニカルで、凶暴だけどエレガント、でもマゾヒズムとサディズムまで兼備したクレイジー過ぎるキャラクターへと昇華させている。(またプリンスの音楽が映える!笑)

こんな演技と設定されたらバットマン曇るわいな。
マイケルキートンもキャリア低迷するわな笑

それにしてもジョーカーというキャラクターを演じるという事はそれ程までに難しいのだろうか。

ジャックニコルソンの怪演は鳥肌級なんだけど、見方を変えればかなり滑稽。
しかしトラウマレベルに頭に焼き付いて離れない…。(劇中で化粧品などに劇薬を投与されており、次々と市民がスマイルの犠牲になるところの件は最高だった笑)

こんなアンバランスな調理しないと、彼の映画はバランスを保てれないのだろうか?

それくらい矢張り彼の映画は不思議な体験であった。



本作と「キングオブコメディ」を通して公開中の話題作「ジョーカー」に迫ってみたわけだけど。

いずれにせよこのジョーカーというキャラクターは本当に不運から産まれた様な。

時代の不遇、家族からのネグレクト、裏切り…正義だろうが悪だろうが、そんなの個人の主観であって。
人がそれぞれに持つ根幹が揺らぎ、転落するとこんなにも変貌を遂げてしまうのだろうか。

というより本来の人間にはジョーカーの事を決して卑下出来ないくらい、二面性と悪を備えてるのではないだろうか。
普通の人間ではそれは肯定したくもないし否定するが、どんな人間にも裏はある。

それがトランプの様に表か裏か…そもそも表裏の概念て?


そんな答えの出ない自問自答をしていたらジョーカーの高笑いみたくは笑えなかった。
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