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イノセンスのMondeFilmのレビュー・感想・評価

イノセンス(2004年製作の映画)
4.3
 後半の択捉の描写が白眉。異界、SFの素養。中国のパチモンゲームみたいなおどろおどろしさと当時の3d、cgが奇跡的に噛み合っている。異常な世界に連れて行ってくれる。エキゾチックなアジアのみならずゴシックな東洋。活動するには朝早く、曖昧な時間を映画が埋めてくれる。特にアニメ映画は作るのが大変なのか時間が短い場合が多く、都合がいい。冒頭『未来のイヴ』。『ブレードランナー』的世界はそのままにアニメーション表現のクオリティは高まる。しかしある意味、最も味の無い映像かもしれない。セル画ほど魅力はなく...PS2。しかしあの不気味の谷的なCGが最大限に活かされている。Vapor?バトーの派手なアクションは格好いい。今敏。今回もシミュラークル・アジアン・クワイア。川井憲次。Kalafinaとか。Ken Ishii「Extra」。やはり『AKIRA』、芸能山城組の影響は大きい。もはやお約束。ハラウェイってダナ・ハラウェイか?オリジナルの犬が高価なのも電気羊っぽい。
 思い出は嘘の記憶と変わりがない。感情は信号か?情動二要因理論。一旦そういうものとして理解してしまうと、脱却が難しい。単にエンターテイメントとしてのみならず、考えの示唆を与えてくれる作品は良い。作中での要素がメッセージを強める。ロボットの自殺とかSF的には割とオーソドックスなテーマかもしれない。神に近い物としての動物、網野善彦。あんまりこのジャンル知らないが...ハードボイルドな割に一般的なテーマ。というかハードボイルドな割にシュールギャグというかヤクザに殴り込んだりオモロだったりする。人間とロボットの違いは?なぜロボットは人間の似姿として作られるか?そこが受けた?少し考えるだけでもロマンチックな自分らしさは存在せず、他者性としての確立したファッションを纏い、なんなら既存の言語を使っている時点で他者の嗜好を介入される。どうしても衒学的に感じる。鼻につく。『フルメタル・ジャケット』的な言い回し?ただこういう稼業はある程度その雰囲気に浸りでもしなければやっていけないかもしれない。セックスワーカーの達観。前作でロリ化した草薙。データ、テクノロジーのアイデアとして参考になる。ゼンマイ仕掛けのペット。犬と猫のジレンマ。なぜ犬猫は絶滅しないか?去勢手術の効果、ペットショップ。グロテスクな事実はあまり考えられていない。林の中の象のように。
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