みぱちょ

少年と犬のみぱちょのレビュー・感想・評価

少年と犬(1975年製作の映画)
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荒廃した環境では生物は自分の欲求に忠実になるのだなあと思いました。人間も野生化したのかな。

クソさの方向性は違えど出てくる人間がまあみんなクソ野郎で、ただただブラッドだけは幸せになって欲しいと終始願ってた。人間には誰にも共感できなかったけど犬にはすごく共感できた、友達になって欲しい。1番人間らしい心を持っていたのはブラッドだったのが皮肉だなあ。一刻千秋の思いで帰りを待ってたのかな。私なら絶対にブラッドを孤独にしないのに!!絶対にばらばらになんてしないのに!!と思って観てた。

結論人間はクソだ!って思ったけど、明日食う飯に辿り着けるかもわからない地上と、閉鎖的且つ排他的な地下で生活しないといけなかったら、必然的に人間のどうしようもないところ丸出しみたいな人間になってしまうのかなとも思った。

地下の世界は2024年の地球はこんな感じかな?って思って描いたのかな?みんな同じメイクをして全員同じように見える演出が、まさに今のみんな同じような見た目して同じようなものを良いとする雰囲気、一人ひとりの違いがあんまりわからない感じに似てるなと思った。ラジオから常に情報発信されてる演出も現代によく似てる。みんな意地みたいにパーティして音楽を演奏して楽しそうにしてるけど、風紀を乱した人間はお偉いさんの匙加減で一瞬で抹殺されて、でも誰も関心を示してない感じも今っぽい。(当時からそんな感じだったのかな?)地上の殺伐とした感じと地下の過剰にも感じる華美さの対比が良かった。

犬にも演技が上手いとかあるんだと思うくらい、犬同士で戦うシーンとか怪我して歩くシーンとか、他にも感情表現とか、すごくいい演技をしていらっしゃった。
とにかく犬が良かった。犬しか勝ちません。