たく

腰抜けペテン師のたくのレビュー・感想・評価

腰抜けペテン師(1951年製作の映画)
3.5
ペテン師が借金返済のために偽の寄付金を募るコメディで、邦題に「腰抜け」が付けられたボブ・ホープ主演のシリーズの一つ。自分にとってボブ・ホープといえばアカデミー賞司会者のイメージで、彼の長編映画初出演となる「百万弗大放送」(1938年)をはるか昔にレンタルしてボブ・ホープ・ファンの母親と一緒に観たけど、チョイ役で期待外れだったので途中でやめた。なので彼の出演作をまともに観るのは本作が初めてで、肩ひじ張らずに気軽に観ることができるB級映画って感じだった。

街の有名なペテン師である通称「あめ玉キッド」が競馬場でのノミ行為の標的にたまたま選んだのは、大物ギャングのムース・ムランから掛け金を預かった友人女性。それを知らずに彼女に1万ドルの損害を与えてしまい、ムースから報復宣告を受けたキッドがクリスマスを期限とした返済を約束させられる。ここからキッドがムースの所有するカジノを偽の老人ホームに仕立てた寄付金集めに奔走するドタバタ展開になるんだけど、骨の髄までペテン師が染みついたこのしょうもないキッドのことを愛情で受け入れるブレイニーが何ともいい女なんだよね。

キッドの寄付金集めに目を付けた同業者のチャーリーがキッドから寄付金と老人ホームの顧客を横取りしてからの両者の攻防戦が見どころで、身勝手な動機から始めた寄付金集めが結果的に皆に幸せをもたらすという「嘘から出た実」系の話にまとまってた。賭博行為を隠蔽するためにムースのカジノに仕掛けられたカラクリが誤作動するくだりのチープな映像(早送りと逆再生)に白けたんだけど、これが終盤の伏線になってたのは上手い演出だった。
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