みおこし

マルコムXのみおこしのレビュー・感想・評価

マルコムX(1992年製作の映画)
3.7
スパイク・リー監督作品制覇企画。公民権運動の旗手の一人として名を残すマルコムXの半生に迫った一大伝記映画。

キング牧師とよく対比されますが、決して武力を行使するような運動を彼がしたわけではなく、その姿勢が強硬なものか否かに大きな違いがあるのだなと。
長い映画でしたが、キングが運動家として台頭する前の前日譚がたっぷり描かれていて興味深かったです。
幼い頃からKKKからの攻撃の恐怖に晒されながら最終的に父を惨殺され、母が精神病院に送還されるなど悲惨な過去もあったことが影響してか、若い頃は犯罪に手を染め悪行の限りを尽くしていた時代があったとはつゆ知らず。結構許しがたい犯行にも及んでいたようですが、獄中でのとある人物との出会いが彼の人生を激変させていきます。ボストンでの悪友ショーティを演じているのは、監督のスパイク・リーご本人。
映画の後半は、ネーション・オブ・イスラムの教えに感銘を受けて出所後に活動を開始するマルコムの姿が描かれます。

デンゼル・ワシントンのマルコム役、とにかくこの前半から後半にかけての演じ分けが凄まじかったです。頭の悪いチンピラから、カリスマ的な指導者へと成長していく姿はとにかく圧巻。アンジェラ・バセットやデルロイ・リンドなど、脇を固める俳優さんもみんな渋い面々ばかりで、伝記映画として非常に見応えのある内容でした。
時折入るミュージカル・シーンはリー監督らしい明るい側面もあって楽しめたし、ラストの子供たちの"I am Marcom X!"の描写はマルコムXの功績を訴えるアフリカ系アメリカ人としての監督の熱いメッセージやっぱりグッと来ました...!

長いしショッキングなシーンもそれなりにあるので、ご注意ください!!
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