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風と共に散るのあのレビュー・感想・評価

風と共に散る(1956年製作の映画)
4.8
空港の保安検査がザルすぎるのは地味にツボです。あとカメラまで暖簾をくぐる映画は初めて観ました。

最初ミッチが入った扉が、ラストでもう一度出てくるとき、今度はミッチが入って来る。一発の銃声の矛先だけ隠した、扉を挟んだこの見せる見せないの選択が本当に上手かったです。鏡を使った視線誘導も相変わらず上手いですね。カットが早くてカメラもブンブン振るけども、一切引っかかりを感じさせないダグラスおじさん凄い!

ていうかまず脚本がバチクソ上手いです。カイルの不能疑惑の仄めかしが上手いですし、カイル父の死をきっかけに、コックピットでの父時代の話が効いてくるところが本当に上手いです。父時代から、というかハドリー家自体がウェイン家なしでは種無しなのでは?となるわけですね。そして、精力が弱いからこそ妊娠が疑わしく、ミッチ=コンプレックスの矛先が完全に定まるのもなるほどだし、ラストあの部屋に妹を入れたのもナイスすぎます。

また、普通の監督なら止め絵にしそうなパームビーチや空港をしっかりと魅力的に動かす、サークの細部へのこだわりが素晴らしく、さらに、油田を吹き抜ける風をしっかりと家まで吹き込むことで、遠景で力無く倒れるカイルや、父も兄も失うも、石油だけが沸き続けるハドリー家がたどった残酷な運命が見えてきたところも素晴らしかったです。ここに来てサークの良さがようやく分かってきました。

あ、でもローレン・バコールに寄るときだけソフトフォーカスにするのやめて下さい。露骨すぎて笑ってしまいます。
あ