タチカワ買い出し紀行

シルバー・グローブ/銀の惑星のタチカワ買い出し紀行のレビュー・感想・評価

5.0
こんなに強烈なインスピレーションを受けた映画は他にない。
圧倒的「狂気」を描き切った作品。
この作品だけは、他作品と比べても次元が違いすぎる...。
これを作れるのはこの世でズラウスキーただ一人でしょう。
ポーランド政府からの弾圧を受けながらも、10年以上の歳月をかけ、執念と気合いで作り上げた未完の超大作。
ズラウスキーと言えば「ポゼッション」が代表作であり、とても"狂気的"な作品と言う印象が強いですが、正直この「シルバー・グローブ」には、どんな作品でさえも敵わないと思っています。
どうやったらこんなぶっ飛んだ映画が作れるのか...凡人の私には全く理解できない。
やたらと人が叫び、走り、語り、踊り狂う。
絶え間なく誰かが話しているが、それも哲学論だったり、謎の俳優論と言った常人には理解不能なものばかり。
こんな感じでストーリーがほんっとに難しい。難解なんてレベルではなく、もはや言葉を失ってしまう。
だが、シルバーグローブの最大の魅力は、なんと言っても映画界屈指の映像美だと思う。
あまりにも美しすぎる色彩。
丁寧でもあり、大胆でもある、隅々まで考え抜かれた構図。
手持ちカメラを振り回すかの如く撮った躍動感あふれる映像。
まさにズラウスキーの執念と、恐ろしさすら感じさせる映画愛の結晶。
完全に理解するのはほぼ不可能な映画だけど、それでも映像美の虜になって何回も観てしまう...
私はこの作品を初めて鑑賞した時、確信しました。こいつに勝るSF映画は存在しないと。