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わらの犬のyokoのレビュー・感想・評価

わらの犬(2011年製作の映画)
4.0
閉鎖的な空間で集団心理が〜ではなく最初からクズに見えるので意外性がない。最初から田舎のヒス。人の良さそうな田舎人が的な不穏さがない。

清楚な女があんな目に〜というより最初からビッチに見えるし、かといって強い女でもない。女のしたたかさでもない。事件は起こるべくして起こったという印象しかない。

なぜ必死に匿うのか?それは彼がリベラルだから、仮に犯罪者でも法で裁くべきと考えている。頼りない彼の頼もしさはそこ。全ては手順によって行われるべきと考えている。だから手順を無視された時最大の怒パワーを解き放つ。何に近いか?ロストハイウェイの車間距離おじさんかな。違うかw秩序を愛するゆえの暴力装置ね。カミーユの出てこなければやられなかったのに〜!的な。

そのトリガーはハンティングのシーン、神の使いに例えられる鹿のハントに成功、要は神殺しのメタファー、彼の中で知性で抑圧していた暴力で解決することに、手順を省略する暴力に快楽を見出す。神殺しの自信と快楽それが籠城戦につながる。あの状況下で生き生きしてくるのは復讐でも、プリズン兄貴を助けたかったからでもなくただそれがやりたかったから。

一見、マチズモに虐げられる自由になりたい女性の地位向上、告発映画に見えるが真逆。TITANEとかああいう風にもとらえかねないが。結局何もしてない女は小馬鹿にしている優夫にすら叶わない。自称強い女、南部マッチョへ、倫理とはを説く映画。

彼女の中で全弾過剰に撃ち尽くすヒゲに比べて明らかにチャーリーと線引きがしてあり、おそらく過去好きな時期があったのだろう。ヒゲとチャーリー同じレイプ魔なら2人撃てばよい。しないというのは殺したくなかったから。強い女ならやっちゃえば良いし、弱い女なら街からすぐ逃げ出せばいい。結局男に委ねて何もしない。
罠パク時、チャ、チャーリーといってたのもそのため。何かしてるようで何もしてない、保守でもリベラルでもない。家庭を守るわけでもビッチの矜持もない。ただ各所にボヤを撒き散らし、火事を焚き付けてるだけ。この映画はそれを批判しているのだ。

それぞれの行動原理が雑に見えるが、画面そのもののじめっとした気持ち悪い感じ、輪郭がざらざらっと黒っぽく見えるライティングが結構好き。

straw dogsは老子の言葉らしい(天地にとって万物は祭儀のわらの犬程度の役に立たないもの)おそらくstray dogs野良犬とも掛けていてキリスト教的価値観の中で役に立たないstraw dogsだった主人公が、神殺しをへて、暴力装置stray dogsとして解き放たれたことを意味しているのではないか。
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