そうねだいたいね

キミに逢えたら!のそうねだいたいねのレビュー・感想・評価

キミに逢えたら!(2008年製作の映画)
3.8
そういえば大学の同期にも未練タラタラバンドマンで別れた元カノに自作のCDを送りつけてる奴おったわ。受け取り主である女の子は仲の良い友達で「今更なんか送ってくんのキモい」って言ってて爆笑した。もしかすると、その子も今作のように届いたCDをゴミ箱に捨てて、それを拾った別の女の子が同期の男に恋して廣木隆一の『東京ゴミ女』が裏で密かに始まっていたのかもしれない……。そんな話はどうでもよくてやな。今作はインキャを勇気付ける映画です。大変勇気付けられました。ありがとうございまふ。ただ、ライバル的存在の女の子を見返す為に彼氏を演じてくれと頼まれる陰キャ主人公すごく羨ましかったし、テレビ画面に向かってノラ役のカット・デニングスに「僕と付き合ってください」と 30回くらい唱えてた俺の実生活は今後も変わらず退屈で、今作とはかけ離れた冴えない日常が待ってると思うと絶望しそうになったりもしたが。冒頭でニックが元カノに携帯の音声メッセージで自分の気持ちを1人語りするシーンは観客に状況を伝えるには説明描写になり過ぎず、とにかくピュアな感じが伝わってとても良かった。その手があったかと思ったり。しかも言い終えた後にメッセージを自分で削除してしまうのも最高。『ディスタービア』同様アーロン・ヨーにおちゃらけた友人役を演じさせたら右に出る者はいないと確信した。車種がタクシーと一緒もしくは黄色いからかタクシーと間違えられ、乗ってきたイチャコラカップルを目的地まで送り、ちゃっかり乗車料金取るのも最高に面白い。しかも乗客のカップルが降りる際に「人に優しくね」というニックの一言も彼の人間性がよく伝わる。元カノを吹っ切ったというのを台詞では言わず、トリスが車の窓に付けたキスマークをワイパーで消して見せるも見事!思わず「お見事!」と言ってしまった。とにかく好きなシーンが盛り沢山の映画だった!ただ、出会ったばかりの見ず知らずの男たちに友人を預けちゃって大丈夫かよとはちょっと思ったが。終わり良ければ全て良しでは無いが、見逃す。ラストカットは2人がエスカレーターでキスしながらそのまま流れてってフレームアウトして終わるでも良かったというのは個人的な意見。