日向日向

マン・オブ・スティールの日向日向のレビュー・感想・評価

マン・オブ・スティール(2013年製作の映画)
4.5
ジャスティスリーグ公開記念。

1943年頃から幾度となく映画化されてきたスーパーマンというアメリカの英雄の新作は葛藤・苦悩を主題においたある意味問題作。
しかし、悪い意味ではなく、自身を擲ってヒーロー映画界に新しい風を吹き起こした作品でもあると思います。

幼少期から青年期を経て、ヒーローとしての自画像を形成して行く過程は、過去作で何度も同様に触れられていますが、その言わばテンプレさえも現代風に置き換えれば重厚なものになるのですね。
制御できない膨大な力故の苦悩に始まり、能力を使って人助けをすべきか否かで生まれ始めたヒーロー観を父親の死という重大なイベントで確立させていく前半部分の描写の綿密さは、ザック・スナイダーとは思えないくらいの手の込めようです。

今作では、正義対絶対悪ではなく、正義対正義というのも見ものです。
今回のメインヴィランは、同じクリプトン人のゾッド将軍なわけですが、彼の行動理念は『クリプトンの再興』なわけで、たしかに地球に迫り来る侵略者であるが、前半の十分な描写のおかげですごく共感できるんですよね。
人類の敵なので倒すべき相手なのですか、スーパーマンにとっては唯一と言っていい同胞。その苦悩が本来明るいはずの戦闘シーンにも悲壮感を与えられているように思えてなりませんでした。

全体的に暗い、という印象が強いのですが、戦闘シーンはとにかく圧巻。スーパーマンが持つ圧倒的強さを表現できる時代がようやく来た、と実感できました。
ドラゴンボールを彷彿とさせる躍動感、重量感がひしひしと伝わり、子供のように戦闘シーンを楽しめるという強みもあると思います。

その異質な作風から、賛否は別れておりますが、個人的には大好きな本作。ジャスティスリーグが楽しみでなりませんね。
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