色々ともったいない作品じゃないかなと思いました。
<あらすじ>
年老いた野球スカウトマンが目が悪くなってきたため、引退の時期に近づいてきた。しかし強がる彼を心配して娘が手助けにやってくる。
クリントイーストウッドが主演。いつものごとく頑固な役を演じていました。口が悪くても何故か憎めない人物を演じたらイーストウッドの右に出る人はいないでしょうね。また、ヨボヨボになった皮膚によって晩年という説得力が増していると思いました。
色々ともったいない作品だと思います。主人公と娘との関係性や娘自身の将来、はたまた認められない野球選手など色々な要素を盛り込んで結果的に焦点がぼやけているように思えました。その要素どれか1つのみを描いていればお話として良いものになったんじゃないかなと思いました。また、最後のスカっとさせる展開には、この映画全体として雰囲気にあっていないと言いますか、あそこだけ作為性を感じてしまいました。色々と人物描写をしてきた結果がこんなわかりやすすぎるものでいいのかと。
映像としては凡。イーストウッドが監督していたらもっと彩度が低めになるでしょうが、イーストウッド主演で彩度が比較的高い映像に新鮮さを覚えました。構図がかっちりとしたものではなく、そこまで映像に手をつけている印象がない。映画の映像に良い構図を求めたい人間なので、ほんの少し不満。全体的に安っぽく感じさせない一定以上の映像だったので映像がノイズになるなんてことはありませんでした。
人が何かを言いたいけど言わない時には、真顔の人間を映したり丁寧な演出をしていました。ただ、ラストシーンのスローモーション演出にはちょっと笑ってしまった。日本のバラエティ番組でCMに入る前によく見るような興味をひきつけるためのスローモーション演出で露骨。
<総評>
凡作。映像に関して特徴的なことはなく、話としてテーマを盛り込みすぎている。ただ、イーストウッドが演じる頑固人間はやっぱり良いなと思わせるものでした。